楽天カード(東京都世田谷区)は、2016年9月から発行している『楽天ゴールドカード』と、より上位の『楽天プレミアムカード』の格差をはっきりさせるため、サービスの改定を行います。楽天ゴールドカードを持ち続けているユーザーにとっては明らかな大改悪。会社側もこの事実を認め、年会費の返金や請求停止に応じました。
楽天ゴールドカードは、オリコ(東京都千代田区、東証1部上場)の『THE POINT PREMIUM GOLD』や三菱UFJニコス(東京都千代田区)の『MUFGカードゴールド』といったいわゆる格安ゴールドカードに対抗する狙いで開発された商品です。年会費2,200円で当初は楽天市場での買い物時に加算される楽天ポイントが+4倍(最低5%還元)、国内空港のカードラウンジへ無制限に入れるなどの付帯サービスを備え、楽天市場のヘビーユーザーを中心に会員を獲得しました。
ところが、募集開始から2年が過ぎた2018年9月、会社側は国内空港ラウンジの無料利用を1年に2回までと制限します(前記事「楽天ゴールドカードのラウンジ利用に制限!年3回目以降は有料化」参照)。これにより海外旅行ヘビーユーザーの流出が始まります。さらに2018年12月、会社側は楽天ゴールドカードユーザーの一部に楽天プレミアムカードへの切り替えオファーを出します。プレミアムには海外の空港ラウンジを無制限に利用できる『プライオリティパス・プレステージ』が無料オプションで付いており、なおかつ当初3年間年会費免除(通常11,000円*3=33,000円)付きという破格の条件だったことからプレミアムに乗り換える人が続出。楽天ゴールドの魅力が一気に失われてしまいました。
そして、今回は楽天グループの本業である楽天市場で決済に使ったときの獲得ポイントをプレミアムと同じ5%(楽天では5倍還元と表記)から、楽天カード(一般)と同じ3%(3倍還元)に変更します。これにより、年会費2,200円を払う意味が事実上、年2回の国内空港ラウンジと死亡時最大2,000万円の旅行傷害保険、海外トラベルデスクのみとなり、海外旅行の際にわざと入院するなどしなければコストを回収できなくなる可能性が出てきます。
タイランドエリートクラブを運営するタイランドプリビレッジカード(バンラック区)によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による14日間の強制隔離を承知でタイへ行く方であっても、カード付帯の保険では公衆保健省(ノンタブリ市)のオンラインシステムによる事前認証が下りず、別途掛けなければならないといいます。
このため、どうせなら年会費11,000円はかかるものの楽天プレミアムカードに切り替え、プライオリティパスの発行を受けてコロナ終息後に備えたほうがいいかもしれません。
楽天市場での決済に楽天ゴールドを使っていた方は、年会費無料の楽天カード(一般)に切り替えてもいいのですが、その場合はVISAへの切り替えが必須です。楽天カード(一般)は、VISAをメインにMaster・JCB・AMEXのいずれか1枚をサブとする、合わせて2枚まで持つことができます。ただし、現状のゴールドで100万円を超える総枠が出ている方は、1度退会してダウングレードする形となるので、切り替えの時点で与信枠が減らされてしまう恐れがあります(一般カードは原則利用可能枠100万円まで)。また、2枚目をプレミアム(最大300万円まで)にしないと100万円を超える増枠や、最上級の『楽天ブラックカード』へのオファーが原則行われません。