2020年5月20日水曜日

タイ国際航空破綻!!日航と同様の更生手続きへ

財務省国営企業政策委員会(パヤタイ区)がプラユット・チャンオチャ首相に提案していたタイ国際航空(TG=THA:チャトチャック区、SET上場)の法的整理移行について、プラユット首相は今日の閣議で了承する決定を行いました。これによりTHAIは中央破産裁判所(サトーン区)に整理手続き開始(日本の会社更生法に相当)を申し立てることになりました。事実上の経営破綻で、負債総額は2400億Bt.(約8000億円)以上に上ると推定されています。

THAIは1960年の創業以来、財務省の直接出資とオムシン銀行(GSB:パヤタイ区)など国営金融機関を通じた間接保有分を合わせて、政府が発行済み株式の大半を握るナショナルフラッグキャリアとして活動してきました。当初は国内線部門が旧タイ航空(TH=THA:ポンプラップ区)という別会社だったこともあり、日本の『45/47体制』にも似た棲み分けが行われてTHAIは中・長距離国際線を独占して担当し、70年代に彗星のごとく現れて消えたエアサイアム(VG)を吸収合併したほか、1988年には旧タイ航空も合併し、国内線・国際線の一元化を果たします。1997年、創業当初の合弁相手だったスカンジナビア航空(SK=SAS)の誘いを受け、スターアライアンスに結成メンバーとして参加しました。

ところが、タイ初の格安航空会社としてタイエアアジア(FD=AIQ)が国内線の運航を始めたことが大きな転機になります。タイ国際航空はタイエアアジアに対抗するため、ノックエア(DD=NOK)を設立し筆頭株主になりますが、ノックエアが路線を拡張するにあたって、THAIの国内ローカル線を移行するという45/47体制下の旧東亜国内航空(JD=TDA)や旧日本近距離航空(EL=ANK、現・ANAウイングス)も真っ青の政策を遂行したため、THAIはジェット機による国内幹線運航という旧日本航空インターナショナル(JL=JAL)と同じ立場になり、必然的にコストが採算に見合わない状態となってしまいます。

2012年には当時最も小さかったボーイング734の代替としてエアバス320ceoを導入しますが、この際に専用のサブブランド『タイスマイル』が起こされ、2014年には完全子会社タイスマイルエアウェイズ(WE=THD、チャトチャック区)となって、THAI本体所属のフリートはとうとう中大型機だけとなったのでした。

その後、収益の柱となった中距離国際線でもLCCの攻勢に押されます。日本線にはタイエアアジアX(XJ=TAX)が就航し、ノックエアもノックスクート(XW=NCT)を設立して対抗したものの運輸省民間航空局(CAAT)がICAOのSSCを受けてしまい就航が遅れる事態に。THAIはこれをビジネスチャンスととらえてFSC離れを食い止めるべきだったのが、SSC発行直前に増便認可を取り付けていたタイエアアジアXの手回しの良さの前に伸び悩みました。

欧州への長距離便では、乗り継ぎながらもEU圏内ほぼすべての都市へネットワークを持ったエミレーツ航空(EK=UAE)とターキッシュエアラインズ(TK=THY)に乗客を奪われ、直行のアドバンテージだけでは乗客を呼べなくなってしまいます。インドでもIndiGo(6E=IGO)やスパイスジェット(5G=SEJ)のLCC2強がバンコク線を設け、乗り継ぎ需要の多かった日本からの訪印者も日本航空やANA(NH)の直行便開設で次第に離れていくようになりました。

こうしてTHAIは慢性赤字体質に陥っていき、直近7期中最終黒字を達成したのは2016年12月期の1度だけ、株主への配当も7年連続で無しという厳しい財務状況になってしまいます。そして、3月からの新型コロナウイルス感染症(『COVID-19』)のパンデミックに伴う国家非常事態宣言でタイ発着国際線の運航が禁止されたためTHAIは国内線・国際線共に全便運休となり収入源を断たれます。THAIは財務省につなぎ融資を要請したものの労組や組合に近い役員の反対に遭い断念。2010年の日本航空が取った再建スキームを参考に、法的整理でスピード再建を目指すことにしました。

THAIはCOVID-19に伴うタイ発着国際線の運航停止が解除された後、速やかに運航を再開し、再建への道を歩むことになります。

2020年5月1日金曜日

[203]公団が撤退![110]は一時廃止、トンブリ北部の足に不安

首都圏バス公団7管区営業所(ノンタブリ県バンブアトン郡)は、[203](王宮前広場~MRTバンオー駅~バンブアトン2車庫)の営業を、4月30日(木)限りで終了しました。ピンク色とオレンジ色の民間委託バスと、オレンジ色のミニバスは存続しますがいずれにせよ減便。また[110](ラマ6世橋~テウェート)が運行していた事業者の経営破綻に伴い廃止となり、トンブリ北部バンプラット区の市民の足に不安が生じています。

[203]は、ラマ7世橋でチャランサニウォン通りに入り、MRTブルーラインと並行にバンイーカン駅(バンプラット区)先のボロンマラチャチョンニ交差点を左折して、王宮前広場方面を目指します。バンプラット区を南北に縦断する路線で住民の欠かせない足であるとともに、美容整形や性別適合(性転換)手術などで知られるヤンヒー病院が沿線に立地することから、外国人の利用もそれなりにあります。

運輸省は、バンコク首都圏バスの民間委託体制を見直す過程で1路線ごとの運行事業者を1社に絞る方針としており、[203]のように公団と民間委託の両方がある路線では公団1本にするか、民間委託のみとするかの選択を迫られています。首都圏バス公団は1976年(仏暦2519年)からこの路線を運行してきましたが、MRTブルーライン環状部との並行区間が比較的長いため、途中のMRTシリントン駅まで並走する[18](戦勝記念塔~バンブアトン2車庫)と、別経路で王宮前広場とノンタブリ市を結ぶ[65][70]に資源を集中すべきと判断した模様。民間委託事業者の「バンコク118」(ノンタブリ市)に一本化して、公団は撤退するとの決定を行いました。

一方[110]は、ラマ7世橋を起終点に途中のサンヒー交差点(ドゥシット区)までは[18]と同じルートで、ここからサムセン通りに入りテウェートまで行く比較的短い路線。バンプラット区内からスアンスナンダ教育大学やラチャモンコンプラナコン工科大学といったドゥシット区内の大学に通う学生が乗客の中心となっていました。こちらはCOVID-19のパンデミックで大学が軒並み休校となったことから乗客が激減し、事業者が倒産に追い込まれ運行停止となりました。4月30日から明日5月4日まで運休した後、5日(火)から民間委託最大手のスマートバス(チャトチャック区)が引き継ぎ、再開される予定です。

2020年4月30日木曜日

コロナ後初の日本新規就航会社!!バンブーエアに国交省が許可

国土交通省航空局国際航空課(JCAB:東京都千代田区)は、ベトナムの新規LCCのバンブーエアウェイズ(QH=BAV、ビンディン省フーカット県)に「外国人国際航空事業の経営許可」(AOC)を交付しました。ベトナム国籍の航空会社で日本への国際線就航が可能になるAOCを取得するのは、ベトナム航空(VN=HVN)、ジェットスターパシフィックエアウェイズ(BL=PIC)、ベトジェットエア(VJ=VJC)に続いて4社目のことです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが収束した後、早い時期の運航開始を目指します。

バンブーエアは2019年1月に運航を開始し、業歴2年目。完全親会社の地元総合商社FLCグループ(ハノイ市ナムトゥリエム区、ホーチミン証取上場)の信用力をバックにリース会社から大量の機材を集め、COVID-19直前にはハノイ(ノイバイ)~ホーチミンシティ(タンソニャット)線で1日19往復を運航するという急成長を遂げました。

FLCが日本への技能実習生派遣を手掛けていることもあって、バンブーエアは創業当初から日本へ定期便就航を目指す事業計画を立て、昨年春には茨城空港(茨城県小美玉市)へチャーター便を運航しました。その後、韓国と台湾へ国際定期便4路線を就航するなどし、国交省にAOCを申請できるだけの実績が整ったと判断。この度、FLC東京駐在員事務所(東京都千代田区)を通じて行った申請が許可されたものです。

当初はエアバス321neoを使い、ホーチミンシティから成田空港と関西空港の2路線、ハノイからは関空への1路線を運航し、ベトジェットエアとベトナム航空に対抗する狙いとみられていますが、将来はタンホア、ヴィン(ゲアン省)といった実習生を多く輩出する省の地方空港と日本を結ぶ直行便の開設も期待されます。

2020年4月29日水曜日

COVID-19を事実上克服、ベトナム国内線航空復活へ

ベトナム交通運輸省(ハノイ市ホアンキエム区)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19、別名武漢肺炎)のパンデミックを抑え込むため国内のほとんどすべての交通機関に運休や欠航を命じていましたが、制圧のメドが立ったとして順次、運航を再開できる体制を整えることになりました。東南アジアの主要国では初めて、本格的に人と物の移動が再開します。

南北に長い国土の南と北に大都市がありながら、高速鉄道が整備されていないベトナムは、人の長距離移動を飛行機に依存しています。その2大都市同士を結ぶハノイ(ノイバイ)~ホーチミンシティ(タンソニャット)線では、ベトナム航空(VN=HVN)とジェットスターパシフィックエアウェイズ(BL=PIC)、ベトジェットエア(VJ=VJC)に加えて昨年、新規キャリアのバンブーエアウェイズ(QH=BAV、ビンディン省フーカット県)が参入し激しい競争が繰り広げられていますが、今回のCOVID-19に伴う移動制限で、一時は各社1日1往復ずつしか飛ばすことができない状況に追い込まれていました。

しかし、中国との陸路国境を比較的早期に封じるなどしたことが奏功し、4月29日時点で国内での感染者は270人、死亡まで行った症例はゼロと、ASEAN加盟国中3位の9000万人の人口を抱える国家としては、非常に優秀なレベルで感染拡大を抑え込むことに成功しています。このため、交通運輸省は航空や鉄道による長距離移動を本格的に再開できるメドが立ったと判断しました。



明日30日は、ハノイ~ホーチミン間で各社合わせて1日28便を運航しますが、明後日5月1日(金)からは1日計36便、5月16日(金)からは1日52便を飛ばせるようになります。ハノイ~ダナンとホーチミン~ダナンは5月1日から1日計12便まで、5月16日以降は1日計20便とほぼ通常の状態にまで回復します。ハノイ・ホーチミンと地方空港を結ぶ路線については、5月1日以降通常の態勢に戻すことができるようになります。

なお国際線についてはいつ再開できるかまだ発表されていません。ベトナム航空、ベトジェットエア共に5月31日までの日本発着便全便が欠航または貨物専用での運航に切り替えられています。

《5月12日追加》ベトジェットエアは国内線全45路線の運航を5月10日までに再開しています。これに合わせた特別セールを開催しており、賞味運賃18,000ドン(約90円)からという都市間バスも真っ青の料金が設定されています。

2020年3月19日木曜日

[9]民間事業者が倒産!代替運行のメド立たず

カオサンとウォンウィエンヤイを結ぶ白色ノンエアコンバス路線の[9](サムセン駅~カラパプルック車庫)を運行していた民間委託事業者が経営破綻に追い込まれ、同路線は3月18日(水)限りで運行停止となりました。2020年に入って、民間事業者が運行をやめるのは[507]に続いて2路線目。[507]はほぼ全区間で公団直営路線が並行していましたが、[9]は非冷房車が主力で独自区間もあるにもかかわらず、首都圏バス公団(BMTA)による代替運行は行われない見込みです。

[9]は1999年まで公団直営で運転されてきましたが、民間委託に変更された後、それまでは[4]と同じくワットパクナム(パシチャルン区)打ち切りだったのをBTSシーロム線ウッタカート駅(トンブリ区)付近を通過して、カラパプルック通りに入り委託事業者の車庫(バンボン区)まで営業するように変更されました。車庫の近くには、「サンペーン2」という水上マーケットが2013年にオープンし、この市場へのアクセス手段としても機能していました。

しかし、バスはBTSウッタカート駅に止まらず、カラパプルック通りとBTSを結ぶ鉄道フィーダー路線としては機能しませんでした。このため公団は5管区営業所(バンクンティエン区)所管で[720](BTSタラートプルー駅~サンペーン2循環)を立ち上げ、BTSへの乗り継ぎをする通勤者はそちらに流れていきます。一方、サンペーン2水上マーケットは思ったように発展せず、期待していた外国人もまばらで乗客の増加にはつながっていません。

また昨年9月にMRTブルーライン放射部(ファランポーン~ラックソン)が開業した後は、最寄りの鉄道駅がMRT終点のラックソン駅(バンケー区)に替わり、バンボン区内からもそちらへソンテウで向かう通勤客が増えているといいます。

そこへ新型コロナウイルス感染症(『COVID-19』)のパンデミックが襲い、中国人観光客がほぼいなくなった上、公団から引き継いで20年になる白バス車両の代替を迫られたにもかかわらず購入資金を用意できる見込みが立たなかったことから、委託事業者は撤退を決めたものとみられます。

2020年3月15日日曜日

伊勢丹バンコク閉店へ…波乱万丈の業歴28年で幕

三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区、東証1部上場)は、旧伊勢丹時代の1992年(平成4年)から営業していた伊勢丹バンコク(パトゥムワン区)を8月31日(月)限りで閉店する方針を決めました。

時事通信が14日深夜にHPで報じ、日本経済新聞(電子版)も追随しました。明日16日にも正式に発表されます。

1987年(昭和62年)、旧伊勢丹は香港を皮切りに海外進出をスタートし、シンガポールやクアラルンプール、高雄(台湾)に次々と店舗を開設、東南アジアで大攻勢をかけました。その一環として伊勢丹はタイへの進出を決め、1992年(平成4年)4月にワールドトレードセンター(現・セントラルワールド)の北側に入居しオープンしました。当時はバンコクだけで日系百貨店が4ブランド(東急百貨店、そごう=現・そごう西武、大丸=現・大丸松坂屋百貨店)ありましたが、アジア通貨危機直後に大丸(現・BigCラチャダムリ店)とそごう(現・アマリンプラザ)が閉店しラチャプラソン地区唯一の日系デパートとなった後は、タイ有数の高級デパートとして地位を固めてきました。

2010年(平成22年)のUDD軍戦乱、2014年のバンコクシャットダウンといった市民生活の混乱も乗り越え、JALUX(東京都港区、東証1部上場)との提携により日系飲食店を総入れ替えするなどし営業を続けてきましたが、一部の報道では2010年代には慢性赤字に陥っていたといい、三越伊勢丹は東南アジア事業をシンガポールとKLに絞り込むことにして、バンコクからの撤退のタイミングを探るようになりました。

そして、2020年に入ってからの新型コロナウイルス感染症(『COVID-19』)による世界経済の急失速で売り上げが大きく落ち込み、三越伊勢丹側が撤退するなら今がベストと判断。大家のセントラルパッタナ(パトゥムワン区、SET上場)も9月以降の賃貸契約を更新しないと伝達した模様です。

伊勢丹バンコクの閉鎖で、バンコクに残る日系百貨店はタイ東急(パトゥムワン区)とサイアム髙島屋(クロンサン区)の2ブランドとなります。

なお伊勢丹バンコクに入居するテナントのうち、紀伊国屋書店バンコク本店は賃貸契約が伊勢丹とは別のため存続するほか、近隣のサイアムパラゴン店も残ります。6階の飲食店については代替地探しを迫られそうです。

2020年3月14日土曜日

タイエアアジアX日本線全便一時運休!6月再開目指す

タイエアアジアX(XJ=TAX、ドンムアン区)は、売り上げの大半を占めている日本・韓国とタイを結ぶ便をすべて運休とする方針を発表し、3月16日(月)から実施します。

タイエアアジアXはバンコク・ドンムアン空港をハブに、成田・仁川へ毎日3便、関空毎日2便、中部セントレア・福岡・新千歳は毎日1便を運航しています。しかし、新型コロナウイルス感染症(『COVID-19』、別名武漢肺炎)の大流行では、韓国では感染者が既に8000人近くに達し、日本も患者数こそ1桁少ないものの600人以上の感染者と19人の死者(世界保健機関=WHO日報3月13日付)を出すなど危機的状況に変わりはありません。この状況が続く中で運航を継続した場合、感染者の拡大を止められなくなると会社側では判断しました。

ドンムアン~仁川線は3月6日(金)から全便運休が続いていますが、とりあえず3月27日まで運休とし、その後については後日改めて判断されます。関空線は11日のXJ613便を最後に欠航からそのまま運休へと雪崩れ込む結果となりました。成田線では毎日3便あるうちの1便(XJ600・601便)を運航してきましたが、ドンムアン発は今日3月14日、成田発は明日3月15日(日)がひとまず最後となります。

既に予約をお持ちの方については、AirAsiaグループのWebサイトで予約をされた方は次のいずれかの対応となります。

・全額払い戻し…決済時に使用したクレジットカードへ取消票を発行
・BIGクレジットアカウント…自分のBIGロイヤリティプログラムのアカウントにポイントの形で保存し、今後1年以内の再予約時に利用
・日程変更…運航再開後、10月16日までのいずれかの日に変更(手数料無料)

Trip.com、SkyscannerなどのOTA(オンライン営業専門旅行会社)、エイチ・アイ・エスなど対面営業形式の旅行会社を通じて予約されている方は、旅行会社の指示に従って変更や払い戻しなどの作業を行っていただきます。

なお成田・関空・新千歳線で競合するLCCのScoot(TZ=SCO)、ノックスクート(XW=NCT)、タイライオンエア(SL=TLM)は減便などがあっても現時点では運航を続ける見通しですが、フルサービスキャリア(FSC)と違ってこれら競合他社の便への振り替えはできません。

またマレーシア国民を対象に2月29日から販売された『AirAsiaX Unlimited Pass』を、日本在住の日本人がVPN経由で購入するケースが相次いだようですが、運航再開後もUnlimited Passのプロモーションコードを使って作成された予約については、チェックイン時の本人照合でルール違反と判定された場合、搭乗を拒否するとの警告がなされています。

2020年3月11日水曜日

[507]3月10日限りで廃止…民間事業者が撤退

タイ人のバス愛好家によるFacebookページBangkokbusclub.com』『Rotmeathai(ロットメータイ)』は、バンコク首都圏内有数の幹線系統だった[507](新・南バスターミナル~パークナム)が、3月10日(火)限りで運行を終了し廃止になったと報じました。この路線を運営していた民間委託事業者が撤退を決めたためで、廃止後は並行して運行されているBTSスクンビット線と、公団直営のバス路線で代替されます。


[507]は、BTSスクンビット線海軍兵学校駅(サムットプラカン市)近くにある車庫を起終点に、BTSと同じくスクンビット通りを走り、プラカノン交差点で分かれてラマ4世通りを一路西へ。バンコク大学最寄りのクルアイナームタイ交差点やクロントイ市場を経て、シーロム、ファランポーン駅、ヤワラー地区とMRTブルーラインの上を走る区間が続きます。サナムチャイ駅(プラナコン区)でMRTとは反対に右折し、王宮前広場へ。王宮前広場から先は[511](新・南バスターミナル~パークナム2車庫)と同じくピンクラオ通り・ボロンマラチャチョンニ通りを北西に進んで、終点の新・南バスターミナル(タリンチャン区)へ向かっていました。

BTSスクンビット線の開業後も、公団直営の[25][45][508][511]を補完するように走り、ビジネス街シーロムやファランポーン駅と新・南バスターミナルを結ぶ足として重宝されましたが、2010年のUDD軍戦乱・最終決戦の際、沿線のラマ4世通りが戦場と化して一時運行できなくなってしまい、他路線に乗客が流れ出します。中でも高速道路(バンナー~マハナコン)経由の快速急行を増発し運行を継続した[25]への転移が顕著で、当時は赤バスの無料運行もあったことから大打撃となりました。終戦後も首都圏バス公団3管区営業所はそれまで朝夕ラッシュ時のみだった[25]快速急行の終日運行を継続したため、サムットプラカン県方面の長距離客がなかなか戻らない事態に陥ります。

さらに、2017年4月のサムロン駅を皮切りにBTSスクンビット線延長2期部分が順次オープンすると、プラカノンと海軍兵学校の間が並走となり、[507]は苦しい立場に追い込まれます。公団が10年越しの懸案だった赤バス・エアコンバス車両の代替を実現する中、1990年代前半に導入された公団払い下げの青色エアコンバスは老朽化が激しくなっていきます。そして、今年1月からの新型コロナウイルス感染症(『COVID-19』)大流行で乗客離れが起こり、委託事業者は事業続行が不可能になったと判断した模様です。

今後、シーロムやスクンビットから新・南バスターミナルへ直行するお客様は、BTSシーロム線・MRTブルーラインバンワー駅発の[B1]『BMA Feeder Bus』(無料シャトルバス)を利用することができます。

2020年2月18日火曜日

「0SIM」8月で終了!在外邦人は必ずサービス移行せよ

ソニーネットワークコミュニケーションズ(So-net:東京都港区)は、格安SIM『nuroモバイル』のプランの一つとして2016年1月から提供してきた『0SIM(ゼロシム)』を8月31日限りで終了すると発表するとともに、新規契約の受付を締め切りました。

0SIMは、同じソニーグループのエムオンエンタテインメント(旧ソニーマガジンズ、東京都港区)が発行する月刊『デジモノ×ステーション』2016年2月号の特別付録として2015年12月に初お目見えしました。1か月のデータ伝送量が500MB以下であれば無料、それ以上も5GBまで1,600円(消費税別)というキャップ付き従量制の料金体系でヘビーモバイラーに大きな衝撃を持って迎えられ、一時は新規で受付可能な枠を制限するほどの人気になりました。

しかし、LINEモバイル(東京都渋谷区)がグループのSNS『LINE』で使ったデータ伝送量は無制限でカウントしない方針を打ち出すと、KDDIグループのビッグローブ(BIGLOBE:東京都品川区)はYoutubeやApple Musicなど大容量を伝送する動画や音楽配信サイトのデータを定額料金とする『エンタメフリーオプション』を開発するなどし、次第に0SIMの魅力は薄れていきます。

弊誌Traveler's Supportasiaでは前記事「在外邦人の一時帰国に!0SIMなら500MBまで無料」で、日本に一時帰国する在外邦人がプリペイドサービスや海外でのルーターレンタルに代えて0SIMを使えばお得と書きました。こちらはまだ魅力が残っていましたが、こちらにも競合他社が出てきます。また、外国人向けには日本以外の複数の国でのローミングが可能なプリペイド料金プランが海外キャリアによって開発されていきました。

つなぎ放題を求めるユーザーに対しても、IoTコンサルティング(ロケットモバイル:東京都港区)が伝送速度200kbpsとISDN並みの遅さながらも伝送量無制限を実現した『神プラン』を開発すると、UQモバイル(UQコミュニケーションズ:東京都港区)が速度500kbpsの『データ無制限プラン』、楽天モバイル(東京都世田谷区)は常時最低でも1Mbps出せる『スーパーホーダイ』と対抗馬が相次ぎます。一方でnuroモバイルの通常のプランでも、『Mプラン』の高速データ伝送量は1か月に7GBまで引き上げられ、0SIMよりも多くなりました。こうしてSo-netは格安SIM業界に選択肢を与えるという役割を終えたと判断、0SIMのサービスを終了して既存顧客にはnuroモバイルの通常のプランへ移行してもらうことにしました。

nuroモバイルの通常のプランは、高速データ転送量200MBの『お試しプラン』が1か月300円(音声通話付き1,000円)から、高速転送量2GBの『Sプラン』は1か月700円(音声通話あり1,400円)からとなっており、0SIMユーザーで1か月の転送量が1GB台であれば、Sプランに切り替えたほうがお得になる計算。音声通話付きの番号を維持できればいいという在外邦人は、お試しプランでも十分です。

既存の0SIMユーザーには、6月から8月までの予定でサービス変更を受け付けるとしています。この期間中にnuroモバイルの通常のプランに移行すれば、お手持ちの電話番号は維持できるほか、音声通話付きプランの1年縛り期間中であっても、違約金は一切かかりません。なお8月31日までに移行手続きをしないと、9月1日付で自動解約になってしまいます(この場合も違約金は請求しないとのことですが)。

2020年2月6日木曜日

JR常磐線9年ぶりに全線再開へ!ひたち号も仙台再上陸

JR東日本水戸支社(茨城県水戸市、東証1部上場)は、2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故で甚大な被害を受けていた常磐線の富岡(福島県富岡町)~浪江(福島県浪江町)間の営業を、今年3月14日(土)の全国ダイヤ改正と同時に再開すると発表しました。

常磐線は、東日本大震災直後には久ノ浜(福島県いわき市)と亘理(宮城県亘理町)の間が不通になりました。この区間では高さ最高21mに達した津波の直撃を受け、線路や駅舎といったインフラが多くの場所で流出、破壊され尽くしました。今回復旧する区間はさらに、福一事故に伴う放射能拡散で警戒区域指定(事実上の避難命令)が出されたことから、震災後数年間は復旧に手を付けるどころか、被害状況の調査をすることすらできませんでした。2014年になってようやく本格的な調査が始まり、2016年3月5日に内閣総理大臣・安倍晋三(自民党、衆院山口4区)が福島県楢葉町で

「2020年3月までの全線復旧を目指す」

と発言したことによって、正式に復旧工事が始められました(前記事「震災5周年…常磐線全通にメド、気仙沼線は鉄路断念へ」参照)

工事は線路沿いの土地の除染からスタートし、放射能により汚染されたレールや枕木を総取り換えしたのち、夜ノ森駅(福島県富岡町)、大野駅(福島県大熊町)、双葉駅(福島県双葉町)の駅舎を建て直すという大掛かりなものでした。すべての除染が終わるのに2年半を要し、駅舎の建て替えや設備の入れ替えにも時間をかけて、19年12月までに工事が完了して試運転を始められる状況になりました。そして、設備に問題がないことが確認されたため、事前に双葉町と大熊町、富岡町の一部に出されていた避難指示を解除した上で、列車の営業運転を再開することにしたものです。

3月14日から、復旧する区間を含むいわき(福島県いわき市)~原ノ町(福島県南相馬市)間には東京・品川駅直通の特別急行『ひたち』3往復と、普通列車11往復の合計1日14往復の列車が走ります。このうち、特急ひたちでは東日本大震災前には原ノ町打ち切りが1日2往復あったものの、この2往復についてはいわき~原ノ町間が再開されません。震災前から上野駅(東京都台東区)と仙台駅(仙台市青葉区)を通していた1日3往復のみの運転となります。

ただし、震災前の『スーパーひたち』ではいわきまで11両編成で、以北は4連で運転される日が多かったのに対し、今回復活する『ひたち』に使っている特急電車『E657系』は10両固定編成しかないため、品川から仙台まで10連で運転。これにより1列車あたりの輸送力は震災前の2.5倍と圧倒的に拡大されます。これは、ひたち号と並行する高速バス『いわき号』(新常磐交通:福島県いわき市)の原ノ町便が運行再開に至っていないための措置でもあります(常磐富岡までは再開済み)。

ちなみに、上野駅8時、13時、16時ちょうど発の常磐線回り仙台行き優等列車は、国鉄時代の1982年(昭和57年)から存在する伝統のあるダイヤです。57.11改正ダイヤでは8時発の『急行ときわ』があり、13時と16時には特急ひたちが設定されていました。