2023年7月7日金曜日

インドネシアのITガジェット持ち込み事情が改善

インドネシア税関総局は、2021年10月からすべての外国人入国者にオンラインでの税関申告『E-CD』の実施を義務付けました。コロナ禍前の2020年以前は、税関ですべての荷物をX線検査し、一人で多数のITガジェットを持参しようとすると、2台を残して没収された例や、空港でデポジットを払って預かりとなることもあったりしましたが、多くの方が3台以上のスマホやタブレットを持って入国しても、お咎めなく入国できるケースが増えてきています。

E-CDは、入国予定日の3日前以降に、以下のWebサイトにアクセスして登録します。

https://ecd.beacukai.go.id/

専用サイトの1ページ目は、パスポート番号や氏名などの個人情報を入力します。続けて2ページ目は荷物の個数、3ページ目で申告が必要な物品の有無をチェックします。

そして4ページ目が、入国後90日以上経過した後も使い続ける予定のITガジェットに関する申告です。長期ビザ・KITASを保有している外国人が、今回の入国後90日以上経過した後も使い続けるガジェットがあるのであれば、ここでIMEI番号・色・ストレージ容量などの端末特定情報を入力します。ただし、価格がUS$500(約7万円)を上回る場合、関税がかかります。
なお、90日以内に持って帰るのであれば申告は不要で、そのまま次のページに進みます。

最後に、入力内容に虚偽がないことの宣誓にチェックを入れれば、情報入力は完了。税関職員に見せるQRコードが生成されますので、スマホならスクリーンショットを撮り、パソコンから入力した方はコードを印刷します。

後は、当日の入国審査通過後、荷物を受け取ったら税関職員に生成されたQRコードをスキャンしてもらえば、税関検査は終了。多くの方は、これまで難関とされていた荷物のX線検査もなされることなく、出口へ案内されてインドネシア入国となります。



2023年6月5日月曜日

関東大手民鉄から「連絡きっぷ」が消えた

関東地方の大手民鉄各社では、3月18日(土)に実施した運賃改定の際に、1枚の乗車券で2つの会社を乗り継げる『連絡乗車券』の大半を廃止しています。ただし、列車の直通運転が存在する区間と、乗継割引が存在する区間は例外です。また交通系ICカードの場合、全国相互利用サービスにより計算上は乗換駅ごとに打ち切り計算となりますが、1枚のカードで乗り継げます。

例えば小田急電鉄(神奈川県海老名市、東証プライム上場)からJR東海(名古屋市中村区、東証プライム上場)の場合、特急ロマンスカーふじさん号が運転されている御殿場線松田駅(神奈川県松田町)接続で、御殿場線、東海道線(熱海から浜松までの各駅)、身延線(富士宮駅と西富士宮駅に限る)への連絡乗車券は引き続き発売されますが、東海道線小田原駅(神奈川県小田原市)接続の連絡乗車券は廃止され、小田原駅で買い直しが必要になりました。

沼津駅(静岡県沼津市)を出る東海道線上り方面の電車は、日中1時間2~3本あり、小田原駅から特急ロマンスカーに乗り継ぐこともできますが、御殿場線の御殿場駅(静岡県御殿場市)から先へ行く電車は1時間に1本が基本で、なおかつ小田急小田原線新松田駅にはロマンスカーが止まりません。あくまでもふじさん号を直通で利用する乗客の利便のために制度を存続させているので、ふじさん号と縁のない沼津や静岡発着で松田接続の連絡乗車券では従来通り小田急線内での途中下車が出来るメリットはある代わりに、列車の利用は不便になってしまいます。また、小学生は2022年3月から交通系ICカード利用を条件に小田急線の小児運賃が50円均一となっているので、連絡乗車券を買う意味は最早ありません。

京成電鉄(千葉県市川市、東証プライム上場)では、日暮里駅(東京都台東区)接続JR線各駅までの片道乗車券発売を終了しました。

相模鉄道(横浜市西区)は、新横浜線の全線開業に伴い新横浜駅で東急線との相互直通運転を開始したものの、東急線および先行して直通運転をしているJR線への連絡乗車券は発売しません。交通系ICカードを使うか、現金で切符を買う場合は羽沢横浜国大駅(横浜市神奈川区)から先の他社線区間は乗り越し精算が必要になります。

なお京浜急行電鉄(横浜市西区、東証プライム上場)は、羽田空港第1・第2ターミナル、第3ターミナル両駅(東京都大田区)とJR東京山手線内各駅の間の連絡乗車券を引き続き発売しているほか、品川駅(東京都港区)にあるJR線への連絡切符売り場も当分の間存続。品川駅の連絡切符売り場では、大宮・千葉など50Km以内の区間への切符が購入できます。

逆に、JR東日本(東京都渋谷区、東証プライム上場)から私鉄各社へというのは限定的ながらもみどりの窓口で発売できる区間があり、旅行傷害保険の利用付帯のためにわざわざ購入する人もいます。

2023年4月13日木曜日

Googleアカウントの乗っ取りは最大のリスク!!

Traveler's Supportasiaは17年目で、最大の危機を迎えました。

サイトの立ち上げ以来、更新に使用していたGoogleアカウントが、ロシアのクラッカー(ハッカー)に乗っ取られ、使用不能となってしまいました。これにより、前のアカウントに連携していた2000本余りの記事を載せたブログが全面的に更新不可能となりました。

これを機に全面リニューアルも検討しましたが、この度アカウントが復旧いたしましたので、更新を再開することに致します。

Androidの登場で、Googleアカウントはインターネットユーザーにとって切っても切れない関係になりました。Androidスマホのすべての機能を使うにはGoogleアカウントが絶対必須です。そのため、万が一に備え、Googleアカウントは最低でも3つ持つ必要があります。メインで使うGMail、スマホアプリの課金に使うGoogle Pay、そしてBloggerにブログをホストしている方はBloggerも、すべて別のアカウントにするのが理想です。

中でも、Google Payを連携するアカウントに、メインのクレジットカードを紐づけてはなりません。iPhoneとAndroidの両方をお持ちの方であれば、普段使いのスマホはiPhoneとし、Androidはサブに。iPhoneには2ファクタ認証を必ず設定してください。こうすれば万が一Apple IDのパスワードを乗っ取られても「許可しない」一発でハッカーの侵入は不可能です。当然その後にパスワードを変更すれば完璧に防衛できます。

メインカードはApple Payのみに紐づけ、QR決済アプリやモバイルSuica・PASMOもiPhoneのみで使用するようにしないといけません。さらにどうしてもの時に備えて、Apple PayにもGoogle Payにも紐づけないデビットカードないしはブランドプリペイドカードをメインのiPhoneで作っておき、そこに十分な残高を入れておくなどすれば、万が一生命線のApple IDが乗っ取られた場合でもカードが再発行できるまでの期間食べつなぐことができ、この上ない安心が得られます。

そして、Bloggerを設置したアカウントは、スマホから更新するとか、余程の事情がない限り、スマホには連携してはいけません。Google Payを別にはできないという方も、GmailとBloggerだけは別にしておかないと、Gmailを乗っ取られたときにBloggerも管理できなくなってしまいます。

ちなみに、ハッカーはGoogleアカウント以外に、Facebook、Instagram、TwitterといったSNS、またAmazonやAliexpressなどの国際通信販売サイト、そしてWISE・Paypalなど国際送金のアカウントを真っ先に狙ってきます。WISEはデフォルトでスマホを利用した2段階認証が行われますので、万が一パスワードを盗まれてもお手元のスマホでログインを拒否した後に、パスワードを変更すれば防衛できます。WISE以外の国際送金をお使いの方も、必ず2段階認証にしてください。

特にPaypalとGoogle Payの連携は不正があったときのリスクが極めて高くなります。PaypalアカウントをGoogle Payに連携すると「事前承認」システムが効いてしまい、その後に不正使用を主張したとしても一切返金されません。さらにPaypalアカウントを解約する際に残高が残っていると、全額Paypalが指定する慈善団体に寄付され、ユーザーには1円も返ってきません。

なお、主要なSNSのアカウントは防衛することができましたので、董事長ふくちゃんの連絡先をご存じの方は今後も他のSNSのメッセージ機能でご連絡くださいませ。

それでは、引き続き皆様にはご指導ご鞭撻賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2022年2月13日日曜日

DJ北林さんが死去…ヒートショック、2ヶ月経って発見

 

クーロン黒沢ファミリーの一員で、DVD作品『やさぐれ旅行人DJ北林』ナビゲーターとしておなじみだった『DJ北林』こと西野今朝彦(にしのけさひこ)さん(東京都出身)が、2021(令和3)年2月にヒートショックから来る急性心不全のため亡くなっていたことが明らかになりました。享年60歳でした。

1月4日に東京・池袋で開催された『DJ北林メモリアル浮遊会』の席上、クーロン黒沢より遺体発見時の映像も交えて説明されました。それによりますと、西野さんは2021(令和3)年2月頃、東京都西東京市の自宅で風呂から上がった際、ヒートショックによる急性心不全を起こして倒れ、一人暮らしだったため誰にも連絡できないまま息絶えてしまったとのことです。

春4月になり、2カ月以上も連絡が途絶えてさすがにおかしいと判断したクーロンが警察と消防に通報して自宅に強行突入。台所で変わり果てた姿の西野さんを発見したと、クーロンは語りました。

1960(昭和35)年生まれ。80年代後半から日本・タイ・カンボジア・フィリピンを行き来する生活を30年以上に渡って続けていて、例年日本の冬の時期はタイかフィリピンにいることが多かった西野さんでしたが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで出国が困難になり、1年を通して日本で過ごそうとした矢先の突然死でした。

董事長ふくちゃんがDJと出会ったのは、2006(平成18)年のこと。ビーマンバングラデシュ(BG=BBC)とエジプト航空(MS=MSR)が相次いでバンコク経由成田線の運航から撤退し、今後利用するべき航空便を相談しに来た時でした。当時はフィリピン航空(PR=PAL)しか選択肢がありませんでしたが、その後LCCのセブパシフィック(5J=CEB)が事業を拡大し、以後西野さんは2019年に最後の出国をするまで、セブパシフィックとAirAsiaグループを主に利用するようになりました。そして、AirAsiaの機内で売られている赤のポロシャツがいつしか西野さんのトレードマークとなっていったのです。


「熱帯仕様になっていた」(ブログ『SEX戦線異常なし』最後の更新より引用)身体が、日本の冬に耐えられなくなっていたのでしょうか。今は、謹んで冥福を祈るしかありません。

2021年7月16日金曜日

[ปอ.8]民間撤退で公団へ![11]は3管区へ移管

首都圏バス公団2管区営業所(ミンブリ区)は、民間のシティバス社が2009年から運行していた[ปอ.8](ラマ1世橋~モーチット駅~ロムクラオ団地)を引き継ぎ、7月16日(金)から運行を開始しました。

[ปอ.8]は、[8](ラマ1世橋~モーチット駅~ソイハッピーランド)の変形で、ザモールバンカピ(バンカピ区)を左折せず、その先のラムサリ交差点を右折、ラムカムヘン通り経由でサパンスン・ミンブリ両区内を通過し、ロムクラオ団地(ラックラバン区)まで行くという長距離路線です。カセムバンディットロムクラオ大学(ミンブリ区)への通学輸送の他、終点に近いラックラバン区北西部ではバンコク首都圏中心部や旧市街へ直結する唯一の公共交通機関として重宝されています。

この度、路線新設以来運行していたシティバス社が撤退することになり、運輸省は後継事業者を探していましたが、ミンブリ区をはじめとする首都圏最東部にきめ細かい路線網を持っている公団が引き継ぐことになりました。2管区営業所では使用する車両を捻出するため、傘下のプラウェート車庫(プラウェート区)が担当していた[11](BTSパトゥムワン競技場駅~プラウェート~ラマ9公園)を3管区営業所メガバンナー車庫(サムットプラカン県バンプリ郡)に移管しました。

2021年7月10日土曜日

三井住友カードゴールド(NL)を取ったら100万円分使おう!!

三井住友カード(SMCC:東京都港区)は7月1日から、ゴールドカードの券面にカード番号の表記が一切ないセキュリティ強化型カード『三井住友カードゴールド(NL:ナンバーレスの略)』の募集を開始しました。一般カードのナンバーレスは今年2月から募集しており、好評のためゴールドカードにも拡大するものです。

三井住友カードは昨年2月、クレジットカードの券面を一新し、それまで30年間変わらなかったパルテノン神殿のデザインを取りやめました(前記事「三井住友カードが全面リニューアル!リスク回避策満載」参照)。この時に、カード番号や有効期限、セキュリティコードといった個人情報はカードの裏面にまとめて記載されるようになりましたが、これをさらに進化させ、個人データは決済端末との間でやり取りを行うICチップには書き込まれるものの、券面上には表記されず、スマートフォンにインストールした『Vpassアプリ』で確認するようにしました。

三井住友カード(NL)は、従来プラチナやゴールドといった上級カード、あるいはエグゼクティブカード(旅行傷害保険強化型)を保有していた会員のために、追加で発行することもできましたが、今回、ゴールドカードにもナンバーレスを投入し、上級会員のナンバーレスへの移行を本格的に開始します。

最大の目玉は、年間決済高が100万円に達した時点で、翌年以降の年会費が免除となることです。従来は、年会費11,000円(消費税1,000円込、『マイ・ペイすリボ』登録者は半額の5,500円)が必要でしたが、年会費が無料となるカード作成初年度のうちに100万円の決済(と正常な引き落とし)ができれば、実質的にゴールドカードを永年無料で使うこともできるという訳。それには、単純計算で1カ月当たり82000円以上を12カ月間決済し続ければ良い事になります。日本に自宅がある方なら、電気・ガス・インターネットなど生活に必要な決済をすべて三井住友カードゴールド(NL)に集約し、日々の食料品の購入やマイカーのガソリン代も1枚にまとめることで割と簡単に達成できるかもしれません。旅行者であれば、例えば日本から欧州や南米といった長距離国際線の航空券、あるいはANAカードスーパーフライヤーズクラブ(SFC)またはJALグローバルクラブ(JGC)の修行に使う航空運賃を決済するなどして、なるべく早く達成する方法はいくらでも考えられるはずです。

なお、会社から支給されたスマホに個人用のVpassアプリをインストールできないなど、アプリの利用が難しい方やどうしてもナンバーレスにできない事情がある方には、裏面にナンバーの入った従来の三井住友カードゴールドも継続して発行されます。こちらは、これまで通り年会費の支払いが必要で、永年無料にはなりません。

三井住友カードゴールド(NL)では、旅行傷害保険に自動付帯部分と利用付帯部分があります。航空運賃を決済すると死亡時最高2000万円の保険金が出ますが、他のカードで決済した場合、「自動付帯分」として最高300万円しか出ないようになっています。これを充実させたい場合は、エグゼクティブカードを追加で持つという手もありましたが、エグゼクティブカードはCOVID-19のパンデミックに伴う海外旅行需要壊滅のため1月31日をもって新規受付を終了しました。今後は、通常(ナンバーあり)のゴールドカードを追加で発行するか、ライフカード(横浜市青葉区)の『旅行傷害保険付き』(年会費1,375円)を別に持つ必要があります。

2021年7月2日金曜日

大江戸温泉物語グループ発祥の地、『東京お台場』閉鎖決まる

大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ(東京都中央区)は、同社創業の地で長年グループの旗艦店だった『東京お台場大江戸温泉物語』(東京都江東区)を、9月5日(日)限りで閉館すると発表しました。これに伴い、成田空港交通(千葉県成田市)の『エアポートバス東京・成田』も同日付で乗り入れを終了する予定です。

東京お台場大江戸温泉物語は、新交通ゆりかもめテレコムセンター駅至近の場所に、2003年(平成15年)3月にオープンしました。開発にあたって天然温泉の掘削が行われ、オープン前年の2002年5月、深さ1400mまで掘ったところでお湯が出ました。

会社側は東京都港湾局との間で借地借家法(1991=平成3年法律90号)に基づく事業用定期借地権の設定契約をしていましたが、当初10年間の契約で最大20年まで延長できるとされていました。しかし、2008年の借地借家法改正で事業用定期借地権の上限が50年に延長された後も、法改正以前に結ばれた契約は上限20年のままで、20年を超えて延長することはできないとされました。都庁と会社側は2001年(平成13年)に進出契約をしたので、そこから20年が経過する2021年(令和3年)が店舗を存立できる限界となりました。東京都港湾局は22年以降、契約を結び直すことを拒否し、大江戸温泉物語グループも全国38カ所に展開する大手スーパー銭湯事業者に成長したため、お台場から東へ約15Kmのところにある『大江戸温泉物語浦安万華郷』(千葉県浦安市)を事実上の後継として、『東京お台場』は断腸の思いで閉鎖する決断をしました。その際、契約が満了する2021年12月31日までに建物を解体、更地に戻して都に返還する必要があり、解体工事にかかる期間を考慮して、遅くても9月上旬までには店舗を閉めなければならないと判断しました。

成田空港交通が属する京成バスグループでは、エアポートバス東京成田の前身の『東京シャトル』が増便された2013年9月1日から、『東京お台場』への乗り入れを行っていました。最盛期には1日6往復が乗り入れ、深夜にチェックインして、成田空港への早朝便の出る時間まで仮眠室や大広間で休憩して、ホテル代を浮かすことも出来ました。2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによりエアポートバスが減便された後も、1日1往復が『東京お台場』始発で運転されてきましたが、20年9月1日のダイヤ改正で『東京お台場』と東京駅の間は運休となり、そのまま閉館、バスも消滅することになりました。


2021年6月30日水曜日

「外貨両替用」ブランドプリペイドカード、終了相次ぐ

資金決済法(2009=平成21年法律59号)の施行に伴い、2010年から参入が相次いだブランドプリペイドカードが、大きな曲がり角を迎えています。中でもトラベラーズチェックの代替として海外旅行客を狙った商品では、コロナ禍によって海外旅行需要が壊滅したことによって、サービス終了に追い込まれるものが出始めています。

クレディセゾン(東京都豊島区、東証1部上場)は、外貨両替用プリペイドカードのはしりとも言える商品だった『NEO MONEY』を、9月30日限りで完全終了とします。既に4月27日をもって新規の発行受付を締め切り、7月30日(金)にはチャージの受付も終了します。また、同じくクレディセゾンが開発、運用してきたJP BANK ゆうちょ銀行(東京都千代田区、東証1部上場)の『mijika』も、2022年春に新商品へリニューアルした上で終了することが既に発表されています。

ポイントサイト大手『ハピタス』を運営するオズビジョン(東京都千代田区)の子会社が手掛けているポイント集約サイト『Pollet(ポレット)』は、サービス自体は存続するもののブランドプリペイドカード事業を全面的に取りやめます。今日6月30日限りでプリペイドカードの新規発行を取りやめ、チャージは9月30日まで、ブランドプリペイドカード事業の完全終了は2022年1月31日を予定しています。

もっともPolletの場合、ハピタスで獲得したポイントを1度に30万円相当まで移行できる利点があります(ハピタス本体から他の集約サイトや銀行振込へ移行する場合は1度に3万円まで)。このためハピタスを含む日本の主要ポイントサイトすべてに対応したポイント集約機能は継続し、集約したポイントを銀行振込で出金できるようにします。一方で、中古品・金券などの買取『モノチャージ』を強化し、今後の事業の柱に育てる狙いです。

一方で、外貨両替最大手のトラベレックスジャパン(東京都港区)が発行する『キャッシュパスポート』と、新生銀行(東京都中央区、東証1部上場)が自行キャッシュカードの代替として普及を目指している『GAICA』は存続します。

2021年6月17日木曜日

中波民放ラジオ『終わりの始まり』(2)10年後、3局だけになるとは限らない

日本民間放送連盟ラジオ委員会(東京都港区)加盟のAM事業者47社で構成する『ワイドFM対応端末普及を目指す連絡会』は、この度参加事業者の大半が2028年(令和10年)までにFM波へ事業の軸足を移し、AM(中波)放送を将来的に終了する方向で一致したと発表しました。 

具体的には、2023年(令和5年)11月に予定されている次回の無線局免許更新の際に、一部の局がAMを「長期停波」とする実証実験を行います。その後、2028年(令和10年)の次々回の無線局免許更新で、次のいずれかの選択をすることになります。

①AMとワイドFMの主従関係を入れ替える
現在は、AM(中波)が親局で、ワイドFMはあくまでも補完中継局という位置付けです。これを逆にします。即ち、ワイドFMを親局に振り替え、AMが補完局として存続する訳です。この際、AMの中継局がある事業者では、中継局をFMに切り替えるか廃局して親局だけを残すことになります。
②すべてのAM無線局免許を返納し、FMに一本化する
最も多くの局が採るとみられる対応がこれです。首都圏近郊の茨城放送、栃木放送はもちろんのこと、積極的な技術開発とともにFM補完中継局を整備してきた山口放送(KRYラジオ:山口県周南市)はAM全面撤退に乗り気。東名阪の3大都市圏でも元来ラジオ専業の文化放送、RFラジオ日本、ラジオ大阪(OBC:大阪市港区)に加えて、TBSラジオも事実上の「旗振り役」として積極的に検討しているとみられています。
③AM中継局のみ無線局免許を返納する
なお、中継局のみAM放送を廃止し、親局は存続とする選択も十分考えられます。福井放送は、小電力の中継局2カ所を実証実験で停波する意向です。
④AM放送とワイドFMを現状のまま併存する
親局はあくまでAMで、ワイドFMは親局のある大都市周辺のみとし、中継局も含め現状通りAMを中心に事業を継続するもので、HBCラジオ、STVラジオ、ABSラジオの3局がこの形態を取ります。

日本経済新聞(電子版)によりますと、今回、AM長期停波の実証試験では、福井放送と同様に小電力の中継局のみ停波する局が全部で14社、親局もないしは親局しかないのを止めるのが7社あるといいます(具体的な社名は未公表)。このうち、中国放送(RCCラジオ:広島市中区)は

「AM停波の前提となる第1次実証実験(2023年)には参加しない。よって(第2次実証実験が行われるであろう)2025年まではAMが停波するエリアはない」

とプレスリリースで明言しました。ラジオ沖縄(ROK:那覇市)も6月28日午前0時から放送されたBCL向け番組『ROK技術倶楽部』の中で

「第1次実証試験は参加しないが28年にはFM局へ転換する」

と社長が表明したと伝えました。

一方、北日本放送は自社ニュース番組の中で

「KNBラジオはFM局となっても当面はAM放送を補完的に維持していく予定です」

とアナウンスし、①の主従入れ替えを選択する方針を明らかにしました。

態度を明らかにしていない局のうち、茨城放送とラジオ大阪は親局・中継局共に止める可能性が高く、一方、朝日放送ラジオ(ABC radio:大阪市福島区)やMBSラジオ(大阪市北区)はAMを補完局とする「AM併用」に移行する可能性が高いとTraveler's Supportasiaは予想します。

朝日放送ラジオの場合、『基幹放送局の開設の根本的基準』(1950=昭和25年旧電波監理委員会規則第21号)の『低雑音区域』とされる電界強度0.25mVのエリアが、近畿2府4県のほぼ全域に加え、静岡県浜松市から広島市まで東西600Kmもの広範囲に及んでおり、これを大事にしない訳にはいかないのです。

関東のニッポン放送も、電界強度0.25mVのエリアでは静岡県全域をほぼ網羅し、「良好な受信が可能」となる1mVのエリアにも静岡市が含まれるのに対し、ワイドFMでは東部でギリギリ聴けるかどうか。静岡県東部・中部の国道トンネルではニッポン放送のAMの電波が再送信されており、AMを停波するなら再送信を止めるか、ワイドFM対応の機器に更新する必要があります。

また、ニッポン放送とラジオ大阪、和歌山放送(WBS:和歌山市)は現在もAMステレオ放送を実施しており、ステレオ対応の送信機をこのまま使い続けて2023年に親局停波というのも出来ないことはありませんが、今回の実証試験では少なくとも2028年までは非常災害などの際に、何時でもAM放送を再開できる状況を整えておかなければならないといい、 これらの局では1992年以前と同じモノフォニック(モノラル)対応で送信機を更新しなければなりません。

趣味として海外中波局の受信に取り組んでいるBCLの間でも、これまで長年にわたって邪魔をしてきた大電力民放局がFMに移行すれば、更なる成果が見込めるとの喜びの声が上がる一方で、「NHK R1は残るんだからそんなに変わらないのでは」との声もあるなど、意見が真っ二つに割れています。

実証試験の開始までもうそんなに時間はありません。どこの局が停波し、どこが存続を決めるのか。リスナーにとって、今後2年半は期待と不安の両面が募る時間となりそうです。

2021年6月16日水曜日

ニッポン放送も方針転換!!中波民放ラジオ『終わりの始まり』

日本民間放送連盟ラジオ委員会(東京都港区)加盟のAM事業者47社で構成する『ワイド>FM対応端末普及を目指す連絡会』は、この度参加事業者の大半が2028年(令和10年)までにFM波へ事業の軸足を移し、AM(中波)放送を将来的に終了する方向で一致したと発表しました。

連絡会幹事局のTBSラジオ(東京都港区)、文化放送(JOQR:東京都港区)とニッポン放送(JOLF=HappyFM93:東京都千代田区)によりますと、日本国内のAM民放47局中、2028年以降もAM波を中心に事業を展開する方針なのは北海道放送(HBCラジオ:札幌市中央区、札幌証取上場)、STVラジオ(札幌市中央区)、秋田放送(ABS:秋田市)の北日本に位置する3局だけで、他の44局はAM放送を縮小、ないしは終了させる方針です。

1951年(昭和26年)の中部日本放送(現・CBCラジオ、名古屋市中区)の開局以来、10年余りで民放AMラジオ48局(連絡会参加47局+日本短波放送)が出来ました。1970年(昭和45年)からはFMの県域民放局が次々と開局。しかし、1970年代以降の国内AMラジオは局によって韓国・北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)・中国といった近隣諸国の放送との混信が酷くなってきました。1990年代に混信対策事業として一部でFM波による中継局建設が認められたのを契機に、2011年(平成23年)の地上アナログテレビ終了によって本格的にAMラジオのFM移行が議論されるようになりました。

こうして、2014年12月1日の北日本放送(KNB:富山市)と南海放送(RNB=Fnam:愛媛県松山市)を皮切りにアナログテレビの第1チャンネルとして使われていた90MHz帯がAM放送局の補完波、通称『ワイドFM』として順次開局。2020年3月16日開局のRFラジオ日本(JORF:横浜市中区)を最後に連絡会参加47局のワイドFMがすべて出揃いました。

しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに伴う緊急事態宣言と、それに伴う経済の落ち込みでラジオ局の営業収入が大幅に減少。設備の維持コストや老朽化に伴う更新の問題に加えて、インターネットの進化に伴う”通信と放送の融合”によって圧倒的に低コストなネット配信『radiko』が代替の役割を果たしきれる可能性が出てきたなど技術的な要因もあり、2019年以降、AM放送撤退を真剣に検討する局が出始めます。

茨城放送(IBS=LuckyFM:茨城県水戸市)は、ワイドFM化を契機にやはり関東近郊にある後発局FM富士(JOCV:山梨県甲府市)の歩みを研究して、東京など南関東1都3県へ向けたプレゼンスの強化を図っており、都内では受信状態が安定しないAM放送を一刻でも早く止めたい意向とされます。栃木放送(CRT-FM:栃木県宇都宮市)も同様。また中波での厳しい外国波混信対策が不要になる北日本放送や福井放送(FBC:福井市)といった日本海側の放送局は早々と賛同を決定しました。キー局中最後までAM波堅持を主張し、AM送信所(千葉県木更津市)の電気設備更新工事を進めていたニッポン放送や、送信機の更新を行ったばかりだったCBCラジオもここへ来て、長期的なAM維持を断念せざるを得ない状況に追い込まれました。