2020年10月21日水曜日

口座引き落としのないクレジットカードを予備に持とう!【2020年版】

日本発行のクレジットカードの支払い方法は、海外と違って銀行からの口座振替が主流となっており、1980年代にはどうしても自動引き落としのないカードが欲しいというユーザーの要求には応えられませんでした。しかし、1998年の『ACマスターカード』(アコム)を皮切りに、銀行並みかそれ以上の充実したATM網を持つ消費者金融系を中心に銀行引き落としの利用を任意とするカードが登場するようになりました。

ACマスターカード以外に、消費者金融国内2位のプロミス(現・SMBCコンシューマーファイナンス:東京都千代田区)や武富士も一時期ショッピング利用が可能で口座引き落としのないカードを発行していましたが、武富士は2010年に倒産(前記事「武富士倒産でもクレジット兼用カードはまだ使える」参照)。プロミスはクレジット兼用カードの発行を終了する代わりに、同じSMBCグループの三井住友カード(SMCC:東京都港区)が発行する『三井住友VISAプリペイド』に、プロミスの与信枠を使ってチャージするという手法を開発しました。

ただし、三井住友VISAプリペイドは、同じSMCCが発行する『VISAプリペ』とは別物で、残高が最高で5万円しか保持できない(VISAプリペは30万円まで保持可)、コンビニ店頭でのチャージが出来ない(VISAプリペはセブン銀行のATMまたはローソンの店頭でチャージ可能)といったリスクがあり、海外に持って行くには非常に心許ない仕様と言わざるを得ません。

一方、コンビニエンスストアを軸とした流通系クレジットカードでは、『ファミマTカード』(ポケットカード:東京都港区)に、3大コンビニチェーン中唯一となる『店頭支払いコース』が古くから存在します。店頭支払いコースでは、月末締め翌々月1日までというスキームは引き落とし(『口座支払いコース』)の場合と変わりませんが、日本全国のファミリーマートのレジでポストペイ方式の利用代金を現金支払いすることができます。翌月12日以降にミニマムペイメント(最低3,000円、利用残高が5万円増えるごとに1,500円加算)を支払えば、翌々月1日までの間は何回でも追加支払いをすることができる他、全額一括支払いをすればリボ手数料もかかりません。

海外出張時の風俗店、例えばタイのマッサージパーラーやバンコク・タニヤの日本人クラブで使った交際費など、どうしても普段使いのカードや法人カードに利用記録を残したくないとか、引き落としの事実が通帳に残ることすら避けたい、なおかつ消費者金融系のカードは持ちたくないというユーザーに最適です。

ただし、ファミマTカードは国際ブランドがJCBしかないため、JCBの加盟店がある程度充実しているアジアならまだしも、欧米に行くときは加盟店の少なさが玉にキズとなります。もっとも、JCBはアメリカ本土でDiscover(アメリカ・リバーウッズ、NASDAQ上場)、カナダなど一部の国ではアメリカンエキスプレス(AMEX:ニューヨーク、NYSE上場)と加盟店の相互開放を行っており、これらの加盟店なら決済ができます。

なお、ファミマTカードを1回払い専用(『ずっと全額支払い』)にするには、引き落とし口座を登録する必要があります。