ANA(NH、東京都港区)は、創業以来66年間に渡り発行を続けてきた冊子版公式時刻表の発行を次号(2020年12~2021年1月号、ダイヤとしては2021年1月31日まで有効)を最後に取りやめるとFacebookページで発表しました。2月以降はWebサイト上での検索のみとなります。なお年2回発行している『サービスガイド』の発行も取りやめられますが、機内誌『翼の王国』は広告スポンサーが多いことや個人の有料定期購読者もいるなどの支えによって、今後も継続されます。 ANA公式時刻表は、旧日本ヘリコプター輸送が旅客航空運送事業を始めた1954年(昭和29年)2月1日に第1号が出されたといい、以来66年8カ月間に渡って編集・発行が行われてきました。1990年代に公式Webサイト『ANA SKY WEB』が起こされるまではほぼ月刊ペースで発行、2000年代には隔月刊ペースに落とされたものの、就航地の空港カウンターや海外支店、日本国内の旅行代理店などで無料配布されていました。
(画像:1957(昭和32)年の日本ヘリコプター輸送社公式時刻表。ANAのFacebookページより拝借しました)
その後、運賃の多様化により発行後に運賃の変更があっても対応が追い付かなくなったため、2012年9月号をもって運賃表の掲載を取りやめ、運賃はANA SKY WEBやSkyscannerなど外部の比較サイトなどで確認するようになりました。
2010年代も末になり、環境保護と持続的な成長の両立(SDGs)が求められる風潮になってきたことから、会社側では紙の公式時刻表の発行を中長期視点で取りやめる方向で検討を始めていたところへ新型コロナウイルス感染症(『COVID-19』)のパンデミックが襲います。世界の航空需要は壊滅的なレベルに追い込まれ、ANAも創業以来最悪の通期損失を出す見込みとなったため、Web版公式時刻表の開発を急ぎ、予定を数年繰り上げて紙版終刊に踏み切ることになりました。オンライン時刻表は、スターアライアンス加盟社やANAの国際線就航地、それにANAがパートナーシップを結んでいるベトナム航空(VN=HVN)、ガルーダインドネシア(GA=GIA)などの地元言語を含む14言語に対応するといい、紙版最終号の有効期限が切れる2021年2月1日から本格的に運用されます。