2020年6月27日土曜日

ノックスクートが運航停止!!コロナで運休、再開せず

ノックスクートエアライン(XW=NCT、ドンムアン区)は、7月14日に予定されている臨時株主総会で会社解散を決議し清算手続きに入ると発表しました。新型コロナウイルス感染症(『COVID-19』)に伴うタイの国家非常事態宣言と、それに伴う外国人入国禁止措置で需要が全滅したため3月22日から全便欠航としており、再開できないまま事実上の倒産に近い形で活動終了を決めたことになります。

ノックスクートは、同じバリューアライアンスに加盟するScoot(TR=TGW、シンガポール)とノックエア(DD=NOK:サトーン区、SET上場)の合弁で2014年に設立された会社で、既に就航していたタイエアアジアX(XJ=TAX、ドンムアン区)のように、ノックエアの大型(双通路)機部門的な役割を果たすことが期待されました。タイエアアジアXがエアバス333を使用しているのに対抗し、Scootの親会社のシンガポール航空(SQ=SIA、SGX上場)で使っていたB772ERを使用、東京や大阪といった日本の大都市とバンコクを結ぶ路線をドル箱と位置付けて事業を展開する予定でした。

ところが、路線認可取得直前だった2015年1月、チャーター専門キャリアのビジネスエア(8B=BCC)が運航を停止。これを受けて運輸省民間航空局(CAAT:サトーン区)に国際民間航空機関(ICAO)の抜き打ち監査が入り、航空運送事業許可(AOC)を審査する体制や担当官のスキルが不十分だとして、重大懸念(SSC)を交付されるに至りました(前記事「ICAO重大懸念でノックスクート運航開始できず」参照)。ノックスクートは成田線開設の認可を取得できる見通しが立たなくなり、実質代替運航の形でScootがドンムアン経由の成田~シンガポール線に就航。先行するタイエアアジアXに勝負を挑みました(前記事「Scoot成田線にバンコク経由便が登場」参照)

それから約3年の間、ノックスクートはSSC発行に伴う主要各国の制裁に追随しなかった中国や台湾への路線を細々と運航することになり、赤字を垂れ流していきます。ようやく2018年6月に成田線の運航を始めたもののタイエアアジアXやScootの既存便に加え、タイライオンエア(SL=TLM、ドンムアン区)も就航しLCCだけで3社が競合する過当競争になっていて、2019年12月期本決算まで一度も利益を上げることが出来ませんでした。

そしてCOVID-19のパンデミックに伴う非常事態宣言のため、2020年3月22日からScoot共々全便運休となり、ノックスクートは運航停止に陥ります。再開できたとしても需要の回復には時間がかかるとみられ、加えて日本側新規LCCのZIPAIR(ZG=TZP、千葉県成田市)も就航が決まっていて主力の成田~バンコク線の競争はさらに激化が予想されている中、会社の持続は困難と判断した模様。

なおノックエアのタイ国内線は運航を継続しており、DD便名の国際線が飛んでいる広島(広島県三原市)、ホーチミンシティ(タンソニャット)、ヤンゴンの3空港へは、CAATから許可が下りれば必ず再開すると表明しています。