2019年9月28日土曜日

LATAMグループ、スカイチームに移籍へ

デルタ航空(DL=DAL:アメリカ・アトランタ、NYSE上場)は、南米最大の航空企業体LATAMグループの中核となるLATAMエアラインズ(LA=LAN/JJ=TAM)と出資を含む戦略的パートナーシップを結ぶと発表しました。LATAMはこれを受け、旧LAN航空時代に結成メンバーとして参加したワンワールドへ脱退を通告。デルタが幹事社を務めるスカイチームに移籍する方向で準備を始めることになりました。

LATAMは、旧LANの時代から南米大陸の他の国へ積極的に進出。中でも隣国ペルーのリマを本拠とするLATAMペルー(旧ランペルー:LP=LPE)は、国営だったアエロペルー(PL=PLI)の倒産によって同国最大の民間航空会社に成長しました。他にもコロンビアやエクアドル、アルゼンチンなど南米大陸各国で次々と現地航空会社を買収するなどし、2010年までに南米最大の民間航空企業体になりました。

2010年8月、LANグループはヴァリグ航空(RG=VRG)無き後ブラジルの最大手FSCとなったTAM航空を買収することで合意。2012年に法人合併手続きを終えると、2014年にはTAM航空をスターアライアンスからワンワールドへ移籍させました。これにより、LATAMグループ全社がワンワールドネットワークで統一され、ワンワールドはブラジルの全ての州に拠点を得て、南米での絶対的な優位を固めました。

一方でデルタは、同じスカイチームメンバーズのアエロメヒコ(AM=AMX)に続いて、南米大陸で戦略的パートナーシップを結べるキャリアを探していました。南米大陸のスカイチームメンバーズとしてはアルゼンチン航空(AR=ARG)があるものの、アルゼンチン政府は過去に3回の対外債務不履行(デフォルト)をするなど信用不安が付きまとい、なかなか事業の拡大に踏み切れません。LATAMのように他国へ進出するなど、尚更不可能です。スターアライアンスメンバーズではアビアンカ航空(AV=AVA、コロンビア・ボゴタ)がありますが、こちらもグループのアビアンカブラジルことオーシャンエア(O6=ONE、ブラジル・サンパウロ)が倒産・運航停止してアライアンスを追放されるという爆弾を抱えています。ちなみにLATAMと並ぶブラジル大手のゴル航空(G3=GLO)は、LCC的な施策を取っているためFSCによるアライアンスに加盟することは想定されていません。

そこで、デルタはLATAMにパートナーシップの話を持ち掛けることにしました。デルタはLATAMの発行済み株式の20%相当を取得し、役員を派遣。これにより、LATAMはデルタの関連会社(日本の持分法適用関連会社に相当)的な立場となります。それに加えてLATAMがエアバス(フランス・トゥールーズ)に発注していたA359XWBの一部機体をデルタに納入させ、デルタはLATAMを事実上金融支援するという内容です。

デルタ、LATAM両社から発表があった直後、LATAMはワンワールド本部(アメリカ・ニューヨーク)に

「非加盟の他社(デルタ)と提携することになったので適法な手続きの下で脱退したい」

と通告。ワンワールドも

「旧LANは結成メンバーであり今回の脱退申し出は極めて残念だが同社の意向を尊重する。移行手続き中も顧客に迷惑が掛からないように支援する」

とのプレスリリースを出しました。