2019年7月16日火曜日

ヤフオク「貨幣」カテゴリでゴミ屑を掴まされないために

海外旅行で余った外貨現金の処分には、誰しも困ったことがあるはず。硬貨があると日本での両替は難しく、海外で再両替しようにも現地に1,000円札の在庫があるかは聞かないとわかりません。再訪する予定があるなら現地に銀行口座を開設して預金するという手もありますが、いくつもあると管理に困ります。

ネットオークション最大手のヤフオク!(旧Yahoo!オークション)には1999年のオープン以来『貨幣』カテゴリがあり、趣味としての古銭売買の他に、海外旅行で余った外貨を両替したり、別の旅行者に売却したりしようとする出品者で賑わっています。しかし、外貨は金融市場の流れを正しく理解しないと行った先で既に使えなくなっていることも多く、下手にやるとゴミ屑を掴まされてしまいます。そんな詐欺被害者が今後現れないように、貨幣カテゴリで売られていても既に使えないものをまとめてみます。

《アジア》
・北朝鮮ウォン…2009年以前に発行された紙幣は、デノミネーションのため使用不可能。それ以降の物も、出品者が北朝鮮に外貨を渡して入手したということで、経済制裁に引っ掛かる可能性がある。購入しないのが無難。
・中国人民元:第1次券(1949年~54年発行)はデノミネーションされており使用不可能。
第2次~第4次(1953~90年発行)は流通停止済みで、第4次券に限り中国人民銀行総行(中央銀行:北京市西城区)または分行(支店:天津、瀋陽、済南、南京、上海、武漢、西安、成都、広州)、および省・省級市ごとに指定された商業銀行(例:雲南省では中国農業銀行の各支店が指定されている。他の省・省級市は中国人民銀行のWebサイトに行き「第四套人民币」で検索)の窓口で現行券に交換可能(前記事「第4版人民幣回収へ」参照)
また、発行銀行が中国人民銀行ではなく、「中国銀行」と表記されている外貨兌換券(1994年以前に発行)は使用不可能で、中国銀行本支店での両替もできず完全な紙屑である。
中華人民共和国成立前に発行された『金圓券』『法幣』は当然無価値で、コレクションとするか中国引揚者の遺品という形で平和祈念展示資料館(東京都新宿区)に引き取ってもらうしかない。
・香港ドル…1950年代以前に発行された1セント紙幣(茶色、裏が真っ白)は使用不可能で、交換もできない。
・ベトナムドン…10,000ドン、20,000ドン、50,000ドン、100,000ドン紙幣についてはポリマー素材を使用した現行券(2003年発行開始)以外使用不可。旧券は国家銀行本店(ハノイ市ホアンキエム区)で現行券と交換可能。

・フィリピンペソ…現行券(2010年発行開始)以外は使用不可。旧券は中央銀行で交換できたが2017年12月31日で終了し、全て紙屑となっている。
・リンギットマレーシア…1RM硬貨($1の表記がある)、500RM、1,000RM紙幣は廃止となっており使用不可能。現行券への交換もできないためKLIA空港の募金箱に入れ、回収してもらうしかない。
第2次(1989年発行開始)以前の紙幣は現地の店舗で受け取らない可能性がある。クアラルンプール国際空港にAirAsiaグループ以外の航空会社で到着する方は第1ターミナル内の銀行で交換してもらう。AirAsiaで到着する方は、KLIA2のインフォメーションカウンターに申し出て指示を仰ぐ。
・インドネシアルピア…現行券(2016年発行開始)の他に1つ前のシリーズ(1998年発行開始)が流通しているが、そのうち20,000Rp以上の4種類は流通停止済みで、バンクインドネシア(中央銀行)での交換も建前上不可能。1968年以降に発行された10,000Rpまでの紙幣については、バンクインドネシア本店(首都特別州中央ジャカルタ市)で現行券との交換に応じている。
・インドルピー…500Rs、1,000Rsの旧券(1996年発行開始)は2016年11月で通用停止。

《欧州》
現在ユーロが通用している国でユーロ導入以前に使用されていた各国ごとの通貨はすべて使用不可能。硬貨については全ての国で交換期限が終了している。紙幣はイタリアリラが2011年、フランスフランが2012年に交換終了。ドイツマルク、ベルギーフラン、オーストリアシリングは各国中央銀行で交換に応じている。