2019年3月25日月曜日

2030年、民放AMラジオ閉局の嵐が!? (2)実際に閉局できるのは少数!?

日本民間放送連盟(東京都千代田区)は、既存中波(AM)ラジオ局によるFM補完放送のネットワークが完成目前となったのを受け、将来的にAMの電波を廃止してFMとインターネット(radiko)に集約することを選択できるよう政府に求める方針を固めました。最速で10年先の2029年から移行を始められるようにしたいといい、ラジオNIKKEI(日経ラジオ社:東京都港区)を含めて現在48あるAMの民放ラジオが、2040年には半分以下に減る可能性が出てきました。

(前記事「2030年、民放AMラジオ閉局の嵐が吹き荒れる!? (1)背景を探る」の続きです)

ただし、このプランが実行されたとしても、実際にAM放送をやめることができる局は限られるのではないかという声もあります。

TwitterやFacebookでは、

「AM、FM、radikoのどれかが聴けなくても他の手段に切り替えられるのでAM廃止は困る」
「災害時に役に立つのはAMラジオ。それを廃止するとは…」
「radikoで聴けるといっても電気が使えなくなる(または使い切った)可能性が高い災害時こそAMラジオの本領発揮という所なのだが」

というリスナーの声が上がっています。

北海道の2局、北海道放送(HBC:札幌市中央区、札幌証取上場)とSTVラジオ(札幌市中央区)は本州の局と比べてサービスエリアが広く、FMに完全移行する場合は非常に多くの中継局を設けなければなりません。これがネックとなり同じ道内のFM局であるAIR-G'(FM北海道:札幌市中央区)とFMノースウェーブ(札幌市中央区)も電波による全道サービスを完成できず、radikoでようやく全道での聴取が可能になったほどです。もしHBCとSTVはAM放送を維持すれば本局(北海道江別市)と16箇所の中継局で全道をカバーできます。

大隅・奄美・トカラ諸島など離島を多く抱えている南日本放送(MBC:鹿児島市)の場合、本土からの距離が比較的近い種子島にはワイドFM局がありますが、奄美大島よりも先には名瀬中継局(鹿児島県奄美市)しかなく、強い指向性を持たせた大電力での放送ということもあって鹿児島本局(鹿児島県霧島市)の電波を受信している住民も多く、今後もAM放送を維持せざるを得ません。壱岐・対馬・五島列島を抱える長崎放送(NBC:長崎市)も同様です。

東京や大阪といった大都市に拠点を置いて広域放送をしている大電力局では、中波の方が昼間の電波到達エリアが広いので、ワイドFMに一本化するとサービスエリアが狭くなります。例えばニッポン放送では静岡市まで「良好に受信できるエリア」と公式に認めており、静岡県東部・中部の国道のトンネルでは地元の静岡放送(SBS:静岡市駿河区)と共にニッポン放送の電波が再送信されていますがこれはAMの電波を受信してのものです。ワイドFMでは箱根山を越えてすぐの三島市あたりで安定した受信が難しくなり出します。

巨大災害の時のラジオの有用性は、既存AM局のスタッフなら身に染みてわかっています。阪神大震災の時のラジオ関西(CRK:神戸市中央区)、毎日放送、ABCラジオや、東日本大震災の時のラジオ福島(RFC:福島市)、東北放送(TBC:仙台市青葉区)はその特性を最大限に生かし切り、被災地の生命線であり続けました。そのような経験のある局は、今後もAM放送の存続に全力を挙げるはずです。

一方、茨城放送(i-fm:茨城県水戸市)や栃木放送(CRT:栃木県宇都宮市)のようにワイドFM化で存在感を高めた例も少ないながらあり、この両局は制度が本決まりになれば早い時期にAM放送廃止に動く可能性があります。

(4月5日追加)
NHK(日本放送協会:東京都渋谷区)の上田良一会長は定例記者会見でこの問題に触れ、

「NHKは放送法(1950=昭和25年法律132号)15条で日本国の存する領土全てにおいて遍く受信できることを義務付けられており、R1(AM放送)を継続する」

と表明しました。前記事で松本正之元会長が触れていたアナログ方式の堅持と合わせ、『安心ラジオ』R1の電波による放送を、AM方式で絶対堅持する方針を固めたといえます。