2019年3月25日月曜日

2030年、民放AMラジオ閉局の嵐が吹き荒れる!? (1) 背景を探る

日本民間放送連盟(東京都千代田区)は、既存中波(AM)ラジオ局によるFM補完放送のネットワークが完成目前となったのを受け、将来的にAMの電波を廃止してFMとインターネット(radiko)に集約することを選択できるよう求める方針を固めました。最速で10年先の2029年から移行を始められるようにしたいといい、ラジオNIKKEI(日経ラジオ社:東京都港区)を含めて現在48あるAMの民放ラジオが、2040年には最悪半分以下に減る可能性が出てきました。

1951年(昭和26年)の中部日本放送(現・CBCラジオ、名古屋市中区)の開局以来、10年余りで民放AMラジオ48局が出揃いました。1970年(昭和45年)からはFMの県域民放局が次々と開局。しかし、1970年代以降の国内AMラジオは局によって韓国・北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)・中国といった近隣諸国の放送との混信が酷くなってきました。

北朝鮮による電波妨害が深刻な韓国では早くからAMと同じ放送をFMでも流す標準FMが実用化されており、日本でもこれに倣って『FM補完放送』を導入することが検討されましたが、当時はFM放送に隣接する90MHz帯の周波数が地上波テレビに使われており、影響を避けるためFM帯の比較的高い周波数が地域によっては利用できなかった(専門用語で『ガードバンド』という)ため全国的な普及は見送られました。このため1990年代にはCBCラジオが岐阜県、毎日放送(MBS:大阪市北区)、ラジオ大阪(OBC:大阪市港区)、朝日放送ラジオ(ABC:大阪市福島区)は京都市に、「外国混信対策」と銘打った中波の中継局を開局せざるを得ない状況になりました。

FM補完放送の検討が本格的に始まったのは、2011年(平成23年)の地デジ移行完了後のことです。地上アナログテレビ全廃によりガードバンドの制約がなくなったため、FM放送に使う周波数帯域を広げられることになりましたが、一時期試験放送が行われていたデジタルラジオ放送(DAB)を導入しないことが決まり、代わりに『特定基幹放送と位置付けられる既存AM局にAMとFMの2波同時放送を認めるように求める声が、在京キー局のニッポン放送(JOLF:東京都千代田区)を中心に沸き起こりました(前記事「NHKの中波ラジオ、アナログ方式で存続決まる」参照)

そこで総務省は90MHz台前半の帯域に既存AM局向けの新たな電波を割り当てて補完放送(『ワイドFM』)を行うことにしました。2014年(平成26年)、北日本放送(KNB:富山市)と南海放送(RNB:愛媛県松山市)を皮切りに放送が始まり、東京の大手3局は2015年12月7日、大阪の3局も2016年3月19日から放送を始めていて、ラジオNIKKEIを除く全47局中43局がワイドFMとの2波体制に移行しています。最後まで残ったRFラジオ日本(横浜市中区)と西日本放送(RNC:香川県高松市)、高知放送(RKC:高知市)も送信所建設費に係る国庫補助の交付決定を受けており、2019年度中に開局して、47局全てがワイドFMの放送を始める予定です。

ところが、電波の特性上山間部などではFMよりも中波の電波の方が届きやすいため、韓国では標準FMのネットワークが完成した後もAM放送を廃止するところはありませんでした。これに対し、日本ではFM補完放送と同時期に普及が進んだradiko(インターネット放送)の存在と、ラジオメディア全体の広告収入の落ち込み、さらにAMの放送設備の更新コストといった経営負担を理由に、一部の地方局でAM放送をやめてワイドFMへ、またラジオNIKKEIでは短波放送を全廃してradikoへの完全移行を目指そうという動きが出てくるようになりました。ラジオNIKKEIは短波放送廃止を結局断念したものの、関東地方で地上波FM放送を行っていた放送大学(千葉市美浜区)は、radikoに移行することで全国満遍なく聴取できるようになるとして、2018年9月30日限りで電波によるラジオ放送を終了しました(前記事「ラジオNIKKEIの使用周波数削減!電波による放送は継続」参照)