社会主義国のベトナムは、革命によって売春などの性産業から表向き「解放」されたことになっており、日本でいうところの風俗店に類するものは存在しないのが建前です。しかし、裏ではいろいろな形に偽装するなどして残ってきたのが現実です。
2015年頃、海外風俗情報専門サイトの『地球の遊び方』さんに衝撃的な投稿が掲載されました。ベトナム中北部ハティン省のある村が、パタヤも真っ青の置屋街、男性天国になっているというものでした。この記事は後に、バンコクで編集されていた月刊『G-DIARY』でも取り上げられ、これを基にした情報商材などで『幻のロリ買い村』などと騒ぎ立てられる始末となりました。ところが17年、ダナンで行われたAPECサミットを前に、ハティン省政府が厳しい取り締まりを行い、省内の置屋は軒並み壊滅したとの情報が流れました。
ここで取り上げられていたのは、ハティン省キーアイン県にあるヴォイ(VOI)という集落。ここは、ベトナムを南北に貫く幹線国道1A号線沿いにあるとはいえ、統一鉄道(国鉄本線)からは離れているので、バスでしか向かうことができません。
小生は、ハノイから中北部以南への長距離バスが集まるノックガムバスターミナル(ハノイ市ホアンマイ区)を目指します。ハノイ駅から南に約8km程行った高速道路の入口に近いところにあり、タクシーなら80,000ドン(400円)くらいです。
切符売り場は、便ごとにブースが分かれているので、例えば同じキーアイン行きでも11時45分発と12時50分発ではブースが異なります。同じ路線に複数の運行会社があれば当然切符売り場は違う訳で、タイやマレーシアの都市間特急バスと同じに考えていただければいいでしょう。
「11時45分発のキーアイン行き特急バスがまもなく発車だよ」
と言われ、急いで切符を買いました。運賃は終点のキーアインまで210,000ドン(1,050円)。外国人だからと高い料金を言われることも頭をよぎったものの、何のことはなく公正な料金でした。釣り銭なく支払って車に案内されます。小生を含め、36席中28人まで埋まってバスは定刻に発車。途中ニンビン省内で1回のトイレ休憩を挟んで、4時間でゲアン省、5時間半でハティン省と南下を続け、18時40分、キーアイン県に入ってすぐのヴォイ村に到着しました。出発から7時間、既に陽は沈んで夜のとばりが下りていました。