2019年1月16日水曜日

ベトナム中部『幻の村』はもう存在しない!! (2)置屋はやはり壊滅

2015年頃、海外風俗情報専門サイトの『地球の遊び方』さんに衝撃的な投稿が掲載されました。ベトナム中北部ハティン省のある村が、パタヤも真っ青の置屋街、男性天国になっているというものでした。この記事は後に、バンコクで編集されていた月刊『G-DIARY』でも取り上げられ、これを基にした情報商材などで『幻のロリ買い村』などと騒ぎ立てられる始末となりました。ところが17年、ダナンで行われたAPECサミットを前に、ハティン省政府が厳しい取り締まりを行い、省内の置屋は軒並み壊滅したとの情報が流れました。

ここで取り上げられていたのは、ハティン省キーアイン県にあるヴォイ(VOI)という集落。

タイのメーサイ(チェンライ県メーサイ郡)、カンボジアのスワイパー(プノンペン市)が相次いで摘発された2000年代中頃以降、その手の好事家たちは次の「楽園」を求めて、各地へと散らばって行きました。そのうちの一つがここヴォイだったのです。しかし、仲間内同士の内輪話に留まる日はいつか終わりを迎えます。ある人が雑誌やWebサイトなどに投稿したり、掲示板に書き込んだりしたことをきっかけに広まって、公安当局の知るところとなり、取り締まりが入って、壊滅に追い込まれていくのが常道。ここヴォイも、例外ではありませんでした。

小生は、ヴォイ村の一軒宿として長年親しまれてきたという、『Khách Sạn(英語のHotelに相当) Tuyet Hoa』に投宿しようと館内に入りました。しかし、誰もいない。暫くしてやってきたおばちゃんによると、営業はしているとのことでチェックインすることが出来ました。料金は1泊20万ドン(約900円)。通常は25万ドンだとの事前情報があったので、割り引かれていました。案の定というか何と言うか、今日は4階建て全30室のこのホテルに、他のお客様は誰もいないようです。

試しに外に出てみると、隣にあったというレストランは営業していません。ビールをオーダーしようにも、ホテルには在庫がなくおばちゃんに買って来てもらうしかない状況です。

先程のおばちゃんに、置屋から女の子を呼んでもらおうと試みますが、

「そういうことはもうやっていない。置屋は随分前に無くなってしまった」

とつれない返事。結局、ロビーにあるWiFiのパスワードを教えてもらってつなぎ、インターネットを少しやっただけで、早々に就寝となってしまいました。

翌朝、日が昇るのを待って外に出てみますが、置屋はまったく営業しておらず、数年前までの全盛が思い出かのように何軒かの建物が施錠された状態で残っているだけでした。ベトナム戦争期の旧北ベトナム領時代から受け継がれてきた、キーアイン(ヴォイ)の性風俗置屋はもはや、終わりを告げていたのです。

時代の流れという、一つの感慨にふけった小生は、キーアイン始発ハノイ行きの特急バスに乗り、ヴォイ村を後にしました。