2018年12月4日火曜日

カンボジア国籍航空会社の日本就航、またも実現できず!?

スモールプラネットカンボジア航空(RD=LKH、プノンペン)が、来年2月から予定していた日本への定期チャーター便による乗り入れを実現できなくなる可能性が高まりました。親会社でチャーター専門キャリアのスモールプラネットエアラインズ(S5=LLC、リトアニア・ビリニュース)が実質破綻し、運航停止を命じられたための措置。カンボジア国籍では過去にも運航開始前の破綻という同様の事例が起こっており、このままではカンボジアが欧州航空安全庁(EASA:ドイツ・ケルン)の就航禁止リストに再度登録されてしまう恐れも出てきました。

スモールプラネットカンボジア航空は、リトアニアの本社と、カンボジアの投資家による合弁資本で2017年10月に設立された会社で、グループとしてはドイツ(5P=LLX、ベルリン)、ポーランド(P7=LLP)、イタリア(P2=LLI)に次いで、本国も含め通算5社目の運航事業者となりました。また、欧米から発信されている英語の業界専門サイトやFacebookページによると同グループはタイにも会社を設立済みだったと伝えられていますが、2015年のタイ運輸省国営民間航空局(CAAT)に対するICAO(国際民間航空機関)のSSC(重大懸念)で運航開始に至りませんでした。

同社は、今年9月に東京で開催された『ツーリズムEXPOジャパン』にGSA(国内総代理店)のエアインター(東京都中央区)と共に出展し、2019年2月から成田~シェムリアプ間の定期チャーター便を運航開始し、4月には定期便に格上げしたいとブチ上げていました。しかし、親会社の財務状態が悪化。英語版Wikipediaによると、ドイツ子会社が10月31日付けで運航を停止したといい、続けてポーランド子会社も11月9日に破綻。そして、リトアニア本社は11月29日付で航空運送事業許可(AOC)の取り消し処分を受け、運航継続不可能となってしまいました。

本社のホームページでは英語で

「スモールプラネットのブランドを持つ航空会社はすべて運航を停止いたします。今後当社に予約をお持ちの方は他の航空会社で再予約が必要となりますので手配した旅行会社にお問い合わせください。長年のご愛顧誠にありがとうございました」

というメッセージが掲載されており、カンボジアもこのまま行けば遅かれ早かれ運航停止になる可能性もありますが、東京で編集されている業界専門サイト『トラベルビジョン』は、エアインター社の話として

「計画自体を断念した訳ではないと聞いている」

と伝えました。カンボジア側出資者が中心となって会社を存続させ、何とかして予定機材のエアバス319ceoを入手し、たとえ違うブランドになったとしても就航を実現したいという気持ちだとのことです。ただ、カンボジア国籍の航空会社が日本への定期便を就航させた例は今までなく、過去には今回と同様、運航開始前に計画がキャンセルされたり会社自体が破綻したケースもあったりしました。2013年にはアジアアトランティックエアラインズ(HB=AAQ)がカンボジア経由成田~バンコク(スワンナプーム)のチャーターフライトを実現できなかったこともあります。

トラベルビジョンは、エアインターが日本国内の旅行会社に営業回りを行っていたものの航空券の販売は始めていなかったと報じました。万が一旅行会社が同便利用のパッケージツアーを造成し販売を始めていれば、ツアー中止や返金などで多大な迷惑をかける可能性があっただけに、これはせめてもの救いとも言えます。