2018年11月17日土曜日

南航まさかのスカイチーム脱退!!ワンワールド移籍へ離れ業強行か!?

中国南方航空(CZ=CSN 中国広東省広州市、上海A株・NYSE上場)は15日、所属する航空連合『スカイチーム』を脱退すると発表しました。スカイチームから完全に抜ける会社が出るのは2009年の旧コンチネンタル航空(CO=COA)以来9年ぶり2社目です。

南航は、2007年11月に中国系航空会社として初めてスカイチームへの加盟を認められ、11周年を迎えたばかりでした。その後、2011年に中国東方航空(MU=CES)がスカイチームへ加盟し、中国の国営大手FSC3社のうち、2社までがスカイチームメンバーズになりました。

ところが、スカイチームのリーダー格を務めるデルタ航空(DL=DAL アメリカ・アトランタ、NYSE上場)は東航の加盟以来、中国路線で東航との関係を重視する方向に傾いていきます。南航は広州・新白雲空港に次ぐ第二のハブとして、北京・首都空港を活用していますが、北京はスターアライアンスメンバーズの中国国際航空(CA=CCA)のスーパーハブで、南航は影が薄い存在。これに対し、中国最大の都市である上海を本拠とする東航の存在感は年々増していき、南航はスーパーハブの広州に近い香港を本拠とするキャセイパシフィック(CX=CPA)の存在もあって、どっちつかずの状態になってしまいます。

そこへ、ワンワールドの幹事社であるアメリカン航空(AA=AAL アメリカ・フォートワース、NASDAQ上場)が接近してきます。南航は同じくワンワールドメンバーズのブリティッシュエアウェイズ(BA=BAW、ロンドン)や日本航空(JL=JAL 東京都品川区、東証1部上場)ともコードシェア運航など関係を深めていましたが、アメリカン航空は2017年3月、2億ドルを投じて南航の大株主になり、スカイチームに対して見えない圧力をかけていました。

そして、南航の董事会(取締役会)は自社が股有限公司(株式会社)である以上、株主を無視してまでスカイチームとの関係を続ける訳にはいかない、また相手が相手ゆえ下手な対応をするとドナルド・トランプ米大統領の機嫌を損なう恐れがあると判断、今回の決定に至ったのではないかと弊誌は分析します。

日本経済新聞は、AAが南航への投資を決めた時点で

「今後南航がワンワールドに移籍する可能性もある」

と解説していました。今回の発表を受け、AAも

「南航の決断を歓迎する」

とのプレスリリースを発表し、ワンワールドへの移籍交渉開始は時間の問題とみられています。

《脱退時期を巡ってTraicyが飛ばし報道》
東京で編集されている専門情報サイト『Traicy』(運営会社:トライシージャパン=東京都千代田区)は、南航のスカイチーム脱退が効力を発生する日について、今年12月31日限りと断定しました。しかし、倒産や運航停止もしていないFSCが発表から1カ月余りでアライアンスを円満に脱退することは現実的に不可能であり、Traicyはまたしても、悪質な飛ばし報道をしたと厳しく非難せざるを得ません。

Traicyは南航が出したプレスリリースの中に

「自2019年1月1日起不再続査天合連盟成員協議(2019年1月1日以降スカイチームとの契約更新にかかる協議をしない)」

とあったのを

「2019年1月1日以降スカイチームメンバーではなくなる」

と誤解した模様です。同じく東京で編集されている専門情報サイト『Flyteam』(KKクロゴ=東京都渋谷区)は

「1月に予定されているスカイチームとの加盟契約更新をすることなく、19年中に脱退手続きを進め、離脱する方針」

と説明しています。

スカイチームでは過去、コンチがユナイテッド航空(UA=UAL)との関係樹立により脱退、スターアライアンスへ移籍した時も業務提携の発表から実際に脱退が成立するまで1年3カ月を要しています。スターアライアンスでも、USエアウェイズ(US=AWE)がアメリカン航空との合併によるワンワールド移籍を実行するにあたって、計画発表から実行まで1年2カ月、正式な発表からでも4カ月近くかかっています。また、ワンワールドも含めた全てのアライアンスで、加盟社のうち1社以上が脱退する場合、各アライアンス本部および全加盟社から遅くとも3カ月前に告知する義務があるということが加盟契約の条項に謳われています(前記事「bmiとBAが統合、スターアライアンスから脱退へ」参照)

もし南航がワンワールドへ移籍するのであれば、少なくとも旧USエアウェイズの時と同程度の準備期間が必要になる可能性が高いと思われます。このため、実際に脱退が行われるのは最速で2019年末、ワンワールドへ移籍するとしても早くて2020年以降になるとみられます。