本格航空会社(FSC)台湾3位のトランスアジア航空(中国名:復興航空 GE=TNA 台北市、台湾証取上場)は22日9時から開催した董事会(取締役会)で会社解散を決議し、発表しました。日本の特別清算に相当する事実上の倒産。1951年の創業以来、66年目で会社の歴史に終止符を打ちます。
トランスアジア航空は台湾高鉄(新幹線)の開業後、経営の主軸を国内線から国際線に移す経営方針を取り、2008年7月31日限りでそれまで主力だった台湾西海岸の都市と台北・松山空港を結ぶ路線を取りやめ、両岸直行(中国大陸への直行便)を皮切りに国際線を強化しました。2012年には日本とのオープンスカイ協定締結を受けて、大阪・関西空港を皮切りに日台間路線に参入。最盛期には台湾人観光客の多い北海道だけで新千歳・函館・旭川・帯広・釧路と5空港に定期便を飛ばし、タイやカンボジア、シンガポールといったASEAN諸国にも就航、エアバス333ceoも導入するなど一気呵成の大攻勢を見せました。
しかし、2014年7月23日と2015年2月4日の2度に渡り、台湾本島と離島を結ぶ路線に使っていたプロペラ機ATR72を墜落させ、多数の死傷者を出します。復興航空は2連続事故をきっかけに本拠地台湾での信頼を失っていきました。フラッグシップだったエアバス333は売却せざるを得なくなり、日本線でも毎日2往復運航していた成田線を毎日1便に減便するなど苦境が目に見えていました。
14年12月に運航を始めたLCC(格安航空会社)子会社のV Air(ZV=VAX)も、地元台湾では親会社がトランスアジアだからという理由で集客に苦慮する事態となってしまいます。しかも航空会社としての知名度がまったくないまま過当競争状態の日本路線、それも東京・羽田空港への深夜便を見切り発車で運航開始して損失を拡大。V Airは9月に全便運航停止したものの、10億台湾元(約30億円)にまで膨らんだV Airの赤字をトランスアジアが背負う形となり、経営危機を迎えました(前記事「V-Air存立危機か!?タイガーエア台湾も経営難の噂」参照)。
ところが、トランスアジアは8月末に一度は決まっていたV Airの吸収合併を撤回、休業に変更すると発表して台湾の政財界から大きな非難を受けます。11月に発表された第3四半期決算では、今年1月からの9ヶ月間だけで22億台湾元(約77億円)もの赤字になったといい、会社側では第4四半期に入ってからも1日あたり1,000万元のペースで損失が増えていると試算。これにV Airの累積赤字10億元を合わせて考慮すると、実際にはさらに重い負債を抱えていたことになります。
国営台湾国際放送(旧名自由中国の声)は、トランスアジア航空が来週29日に転換社債の償還を控えていたと報道。会社側では社債をデフォルトするなら事業をやめなければならない、社債の償還に充てる予定だった資金を乗客への運賃払い戻しなど善後処理に使うなら解散決議のタイムリミットは迫っていると判断した模様です。
昨日11月21日(月)の夜になって、会社側は今日22日の全フライトをキャンセルすると発表しました。しかし、国営中央通信は
「郭芳煜労動部長(日本の厚生労働大臣に相当)が会社側から全便運航停止決定との報告を既に受けている」
と報じ、経営破綻は不可避となっていました。
《航空券は全額払い戻しへ》
トランスアジア航空のWebサイトで航空券を購入していたお客様で、第1区間の搭乗がまだの場合は、Webサイト上で払い戻しの申請をしてください。「手数料がかかります」の表示に関係なく、購入代金全額分が使用したカードの請求から取り消されます。旅行代理店から購入していた場合でも全額返金になりますので、購入した代理店に申し出てください。
第1区間が使用済みで現地滞在中のお客様の場合、第2区間以降の出発が11月30日までであれば原則としてトランスアジア航空の責任で他社振り替え便が用意されますが、用意が間に合わない場合は払い戻しになる可能性もあるとのことです。12月1日以降搭乗予定分に関しては、払い戻しで対応するとしています。
(11月23日追加)
中華民国行政院の徐国勇報道官(日本の内閣官房長官に相当)は23日の記者会見で、トランスアジア航空が破綻直前まで運航していた路線のうちチャイナエアライン(CI=CAL 桃園市大園区、台湾証取上場)が運航していない区間については12月1日からチャイナエアラインに引き継がせる事が決まったと述べました。
中華民国の民用航空法には
「緊急事態発生の場合民間航空会社は交通部(日本の国土交通省に相当)の指揮に従う」(60条)
という行があり、この解釈として
「チャイナエアライン以外の航空会社が運航できない事態に陥った場合はチャイナが路線の継続に最大限の責任を負う」
と説明。これが発動されるということです。
しかし、2014年7月23日と2015年2月4日の2度に渡り、台湾本島と離島を結ぶ路線に使っていたプロペラ機ATR72を墜落させ、多数の死傷者を出します。復興航空は2連続事故をきっかけに本拠地台湾での信頼を失っていきました。フラッグシップだったエアバス333は売却せざるを得なくなり、日本線でも毎日2往復運航していた成田線を毎日1便に減便するなど苦境が目に見えていました。
14年12月に運航を始めたLCC(格安航空会社)子会社のV Air(ZV=VAX)も、地元台湾では親会社がトランスアジアだからという理由で集客に苦慮する事態となってしまいます。しかも航空会社としての知名度がまったくないまま過当競争状態の日本路線、それも東京・羽田空港への深夜便を見切り発車で運航開始して損失を拡大。V Airは9月に全便運航停止したものの、10億台湾元(約30億円)にまで膨らんだV Airの赤字をトランスアジアが背負う形となり、経営危機を迎えました(前記事「V-Air存立危機か!?タイガーエア台湾も経営難の噂」参照)。
ところが、トランスアジアは8月末に一度は決まっていたV Airの吸収合併を撤回、休業に変更すると発表して台湾の政財界から大きな非難を受けます。11月に発表された第3四半期決算では、今年1月からの9ヶ月間だけで22億台湾元(約77億円)もの赤字になったといい、会社側では第4四半期に入ってからも1日あたり1,000万元のペースで損失が増えていると試算。これにV Airの累積赤字10億元を合わせて考慮すると、実際にはさらに重い負債を抱えていたことになります。
国営台湾国際放送(旧名自由中国の声)は、トランスアジア航空が来週29日に転換社債の償還を控えていたと報道。会社側では社債をデフォルトするなら事業をやめなければならない、社債の償還に充てる予定だった資金を乗客への運賃払い戻しなど善後処理に使うなら解散決議のタイムリミットは迫っていると判断した模様です。
昨日11月21日(月)の夜になって、会社側は今日22日の全フライトをキャンセルすると発表しました。しかし、国営中央通信は
「郭芳煜労動部長(日本の厚生労働大臣に相当)が会社側から全便運航停止決定との報告を既に受けている」
と報じ、経営破綻は不可避となっていました。
《航空券は全額払い戻しへ》
トランスアジア航空のWebサイトで航空券を購入していたお客様で、第1区間の搭乗がまだの場合は、Webサイト上で払い戻しの申請をしてください。「手数料がかかります」の表示に関係なく、購入代金全額分が使用したカードの請求から取り消されます。旅行代理店から購入していた場合でも全額返金になりますので、購入した代理店に申し出てください。
第1区間が使用済みで現地滞在中のお客様の場合、第2区間以降の出発が11月30日までであれば原則としてトランスアジア航空の責任で他社振り替え便が用意されますが、用意が間に合わない場合は払い戻しになる可能性もあるとのことです。12月1日以降搭乗予定分に関しては、払い戻しで対応するとしています。
(11月23日追加)
中華民国行政院の徐国勇報道官(日本の内閣官房長官に相当)は23日の記者会見で、トランスアジア航空が破綻直前まで運航していた路線のうちチャイナエアライン(CI=CAL 桃園市大園区、台湾証取上場)が運航していない区間については12月1日からチャイナエアラインに引き継がせる事が決まったと述べました。
中華民国の民用航空法には
「緊急事態発生の場合民間航空会社は交通部(日本の国土交通省に相当)の指揮に従う」(60条)
という行があり、この解釈として
「チャイナエアライン以外の航空会社が運航できない事態に陥った場合はチャイナが路線の継続に最大限の責任を負う」
と説明。これが発動されるということです。