首都圏政庁は、コンピュータゲームやフィギュアなどを売る店が集まり「オタクの聖地」として知られていた旧市街のサパンレック(プラナコン区)をこの秋、強制撤去に追い込みました。現地に残って営業を継続できた店舗はわずかで、多くはバンコク首都圏内各地へ分散した模様。次なる聖地を求めて、オタクたちの「明日なき旅」が始まりました。
サパンレックは、中国人街のヤワラーとインド人街パフラットを分けるように流れているオンアン運河の上に仮設の店舗を設けていました。ゲームソフトなど、オタク文化関連のショップが集まりだしたのはファミリーコンピュータ(任天堂)が本格的に普及した1980年代中頃からで、1990年代には弊誌名誉董事長・クーロン黒沢が「著作権無視のコピーゲームの殿堂」などと紹介し、日本人にも知られるようになりました。2000年代になると、プレイステーション2(ソニーコンピュータエンタテインメント)のコピープロテクトを解除するため、わざわざ機械を持ってバンコクを訪れた人もいた程に知名度は高まりました。
(画像1:サパンレックの橋の上に掲げられた強制撤去の予告)
10月11日、入居していた店舗のオーナーらは政庁幹部との交渉で6ヶ月の猶予を求めますが認められず、10月20日(火)に強制撤去が始まります。それから1ヶ月程で、瓦礫の山も完全に取り払われました。
(画像2:撤去完了後のサパンレック)
一部オーナーは運河に面した倉庫だった建物を使い、『サパンレックスクエア』というモールをオープンさせました。しかし、ここに入居できたのはフィギュアやプラモデルなどを扱うごく一部の店に限られ、コンピュータゲームなどを扱っていたオーナーはバンコク首都圏内各地に分散していきました。(画像3:サパンレックスクエア1階の様子。ゲームソフト関連の店は少ない)

