2015年11月6日金曜日

下関~青島間フェリー「ゆうとぴあ」年内限り!?

関光汽船(山口県下関市)は、子会社のオリエントフェリーが運航している下関~青島(中国山東省)間の国際フェリー航路を年内いっぱいで運休すると発表しました。使用している船の退役時期と、中国からの輸入貨物減少が重なったのが原因で、「一時休航」と述べてはいるものの状況によってはこのまま旅客営業廃止となってしまう可能性もあり得ると伝えられています。

地元紙の山口新聞が10月31日付、日本経済新聞(電子版)は11月3日付けでそれぞれ伝えたものです。

下関~青島航路は、1980年代から「日中友好の船」と銘打ったチャーター運航が繰り返され、1995年(平成7年)、やはり関光汽船のグループ会社である新日本海フェリー(大阪市)の中古船を投入して定期化、本格的な旅客営業を開始しました。2002年(平成14年)に現在運航されているフェリー『ゆうとぴあ』(総トン数26,906トン)が就役したときに週2回運航に増便をしましたが、ゆうとぴあは元々1987年(昭和62年)建造の船で、数年以内に退役する可能性が考慮されていました。

ゆうとぴあが就航して数年後の2000年代中頃がピークで、山東省や江蘇省北部に進出した日系アパレルメーカーの製品出荷を中心に貨物で賑わい、一方で主に中国・九州地方在住のバックパッカーが中国へ渡るルートとしても定着しました。しかし、2010年頃から生産コストの多くを占める人件費がネックとなり始め、尖閣問題が起こった2012年以降は中国での生産をやめて東南アジアへ移る企業が続出。貨物の輸送量は最盛期の半分まで落ち込んでいました。

一方、山口新聞は同じSHKグループが運航する蘇州下関フェリー(下関~蘇州太倉港、貨物専用)の需要が引き続き堅調に推移しているとも伝えており、関光汽船では船齢28年に達したゆうとぴあの退役に合わせて、今後貨物部門は蘇州下関フェリーにより一層注力し、旅客については春秋航空(9C=CQH)に代表される中国系格安航空会社(LCC)利用が増えていてそちらにシフトさせるという経営方針を決めた模様です。下関発は12月23日(水)、青島発は24日(木)が年内最後の運航となります。

SHKグループのツアー部門であるヴィーナストラベル(大阪市北区)は、「ゆうとぴあ勇退記念ファイナルツアー」と銘打ったパッケージツアーを販売しており、航路自体はもちろん、現船に乗れるのも最後という点を強調しています。このことから考えて、将来の再開の暁には就航以来2代に渡って続いてきた新日本海フェリーからの配船という慣行を破り、関光汽船が持っているコンテナ専用船を回した上で、貨物専用にすることも視野に入れているのではないかとTraveler's Supportasiaでは分析します。