国土交通省は13日、東京・霞が関の本省にフィリピン政府運輸通信省の幹部を迎えて航空協定の見直し交渉を行い、一部の例外を除いてほぼ全面的に自由化する「オープンスカイ協定」とすることで合意、即日発効させました。
従来は、日本・フィリピンそれぞれに発着枠の制限があり、2008年の前回交渉ではフィリピン側が「オープンスカイは時期尚早」と発言したこともありました。その後、2010年にフィリピンが欧州圏への乗り入れを禁止されるブラックリストに入ったため、既存航空協定の枠を超える増便はできなくなってしまいました。既にASEAN域内の他の国とは基本的な自由化や羽田空港発着枠などを盛り込んだ新協定が締結済みにもかかわらず、人口1億人近いASEAN有数の島国が取り残される異常事態となり、香港や台北桃園といった空港を経由したり、他のASEAN域内の国と組み合わせた周遊旅行でフィリピンに入る乗客が増えていきました。
今年7月、フィリピン航空(PR=PAL、マニラ首都圏パサイ市)が他社に先駆けてEU域内への乗り入れを許可されたことを受け、 日本も遅ればせながらフィリピンとの航空関係見直しを受け入れる体制が整いました。新協定では、羽田・成田以外の都市発着は以遠権も含めて全面自由化。成田国際空港では両国間のみで打ち切られる直行便が全面自由化され、羽田空港では昼間と深夜それぞれ1便ずつの枠が割り当てられます。
これにより、セブパシフィック(5J)は既存の関空~マニラ線を週3便から増やすことが可能となり、タイガーエアフィリピン(DG)、エアアジアフィリピン(PQ)の後発LCC2社にも日本就航の道が開けます。 また日本側でも、日本航空とANAが羽田~マニラ線を検討中とされており、エアアジア・ジャパン改めバニラエア(JW)が成田から、Peach(MM)は関空と那覇から、エアバス320の性能で十分就航できる距離にあります。
ちなみに、協定の改正部分が即日発効となったのは、協定が発効していないと各航空会社が改正に伴う増便や新規路線の届け出ないしは認可申請を出せないこと、および今冬スケジュールから改正を実施するには申請の期限が迫っていることによるものです。航空協定は二国間条約扱いですので締結の際には国会の承認を受ける必要がありますが、一度発効した協定はその後の改正の度に国会に諮りなおす必要はありません。