(この項、ザビエル古太郎さん/ラチャテーウィ区 からの投稿です)
棚橋事件で非業の最期を遂げた故・棚橋貴秀さんをはじめ、多くの日本人が住んでいることで知られているシーワラマンション(ディンデン区)。その玄関前に数年前から日本人のホームレスがいるという都市伝説が飛び交っていました。
棚橋さんがこの世を去ってから数ヶ月後といいますから、2009年に入るか入らないかぐらいでしょうか。シーワラマンション玄関前のベンチに、どこからともなく現れていつの間にか住み着いた日本人らしき男性。その風貌が『鉄腕アトム』のお茶の水博士を思わせるところから、いつしかそういうあだ名がついていました。当時は本名も名乗らず、自分ですらタイ人の高齢ホームレスかと勘違いするほど。馬場という名前の日本人と分かったのは、しばらくしてからでした。
その頃のふくちゃんは、ザ・ノンフィクションの取材や各方面からの支援で、ホームレスを脱却しようかという時期だったでしょう。しかし馬場さんは、逆に事情を悪化させていきます。オーバーステイは言うまでもなかった。下手すれば、この時点でパスポートも期限切れだったかもしれない。状況を見かねて自宅の一角に寝かせてくれていたマンションの清掃のおばちゃんにも、愛想をつかされて結局ベンチに戻ってきてしまったのです。気が付く頃には、ベンチで寝るようになってもう3年の時が過ぎていました。
(画像2:2012年12月頃。いつもの寝床で差し入れの衣服を片手に…)
そして2013年8月。久しぶりに見に行ったら、なんと馬場さんの荷物は綺麗さっぱり片付けられた後でした。シーワラマンションに長年住んでいるという日本人男性は
「7月のある日、移民庁の担当官が来て馬場さんらしき男性を摘発していったんだ」
という警備員氏の話を小耳にはさんでいました。
今は、何年かぶりに雨風を凌げる場所で寝られる日々を得たに違いない。そう信じたいです。また一人、外こもり界の「生ける伝説」が消えてしまいました…