2013年8月1日木曜日

「新高速乗合」で攻勢!元・ツアーバス会社の挑戦

国土交通省は、バス路線の企画や乗客を募集する会社と実際のバスを運行する会社が異なる「高速ツアーバス」を全面禁止とする改正道路運送法施行令を今日8月1日から施行しました。今年頭には国内で300社以上あったとされる高速ツアーバス運行会社の実に3社に2社までもが撤退に追い込まれる中、「新・高速乗合バス」(路線バス)の認可を取得し既存バス会社と同列のスタートラインに立った元ツアーバス会社は、反転攻勢のチャンスを生かすべく挑戦を始めています。

旧制度に基づく高速ツアーバスの営業最終日となった7月31日。前日に新高速バスの認可を受けたうちの1社、海部観光(徳島県美波町) が、eコマース広告大手のCMサイト(大阪市)に広告を出稿しました。海部観光は、東京~徳島間(大阪経由)で通常のサイズの大型バスに12人しか乗れないという、中国の寝台バスやタイのスーパーVIPも真っ青の超デラックスバス『マイフローラ』を運行して日本の高速バス業界に革命を起こした会社です。ツアーバスでありながら既存路線バスと同等かそれ以上の安全と乗客の快適を両立させることをめざしてきた同社の方針は、新高速乗合バスになっても変わらずむしろ強化されていくという趣旨を約3分のCM動画にまとめ、CMサイト社の数十万人の登録視聴者に訴えかけようというものでした。

『マイエクスプレス』のブランド名で路線営業に移行する海部観光のバスで、東京~大阪間を移動した場合、4列シート車で片道3,300円スタート。3列シート車(『マイリピート』)で5,000円スタートとなっています。ところが、既存バス会社でも京成電鉄系の千葉中央バス(千葉市)が4列シートで片道3,000円スタートのバスを運行しているため(前記事「3,000円高速バスは安心できる会社を選べ!!」参照)、Webで予約した乗客について正規運賃から一律300円引きとし、往復割引はしないというスタイルで価格競争力を維持する政策を採ります。

同時に、徳島市と近畿圏を結ぶ路線では3列シート車を惜しみなく投入しながら、既存キャリアに比べて約3割安い運賃レベルを維持しています。JR四国バス(香川県高松市)の『阿波エクスプレス大阪号』が片道3,600円なのに対し、マイエクスプレスは飛び込みでも2,700円。Webで予約すれば2,400円と安くなります。大阪市内の乗り場は、京阪電鉄中之島線大江橋駅に直結したANAクラウンプラザホテル。JR大阪駅や梅田にも歩ける範囲で、観光客とビジネス客の両方に高い利便を提供します。

そして8月からは、徳島~伊丹空港の直行便が新たに登場。こちらは飛び込みですと片道3,200円しますが、海外から徳島県を目指す旅行者の足が大きく改善します。

実際、ANA(NH)の海外発券格安航空券でアジア各地から成田経由伊丹発着の旅程を組むと、梅田方面のリムジンバス降り場から徳島行きのバスが出る高速バスターミナルまでかなり歩く必要があり大変ですが、これが直行できれば負担が緩和されるので、何とも嬉しい限りです。