セブン&アイHLDGS.(東京都千代田区、東証1部上場)は、同業他社に比べて手薄だった航空会社との本格的な提携に乗り出すことになりました。 その提携先としてANA(NH)を選択、4月から電子マネー『nanaco(ナナコ)』とマイル、電子通貨への相互交換がスタートします。
(前記事「nanacoとAMCの相互交換開始へ (2)ANA交換のメリットとリスク」から続きます。3分割の3本目です)
前記事でも検証しましたが、今回のnanacoとAMCの相互交換は、WAONや交通系電子マネーとの競争で出遅れたセブン&アイが新たな対抗軸を探していたところへ、ANAとEdyの関係が薄れ始めるという偶然が重なって実現したもの。従って、先行する楽天Edyにまだまだ有利なところが多く、nanacoが利点を見いだせる分野は自ずと限られてきます。
インターネット通販のセブンネットで購入した商品の代金は、セブン=イレブンの店頭で支払うか、宅配便の代金引換、クレジットカードで支払います。セブンの店頭では、品物を店に送り込ませる「引き換え払い」と支払いだけして品物を家に配達させる「先払い」を選ぶことができ、このどちらも現金かnanaco、クレジットカードを受け付けます。楽天Edyや、交通系電子マネーは宅配便代引払いに限って使用でき、手数料250円が追加されます。
セブンネットの会員で、毎月多くの品物を購入されているのであれば有利に使用できるnanacoでポイントを貯め、AMCに取りまとめられるのは魅力になります。
ただし、自宅にFelica互換カードリーダーライター『PaSoRi』があっても、楽天Edyと違ってオンライン上での即時決済はできません。従って、出張から戻った後必要になりそうなものを事前に注文しておくというやり方では、nanacoが使えるシチュエーションは店頭ないし宅配便での引き換え払いに限られます。海外から注文できたとしても、帰国した後にしか使えない、ということ。
《入手性に難がある》
事前にセブン&アイグループ各店で入会申込書を記入し、発行手数料を払って、後日郵送されるカードを待たなければ入手することができません。SuicaやPASMOといった交通系電子マネーの場合は発売している駅で買ってすぐに使い始めることができますが、nanacoは気軽に手に入れられないのが難点です。
《海外では使えない》
nanacoは日本国内専用で、海外では使えません。例えばタイでは現地フランチャイジーのCPオール(バンコク・バンラック区、SET上場)が『7CARD(セブンカード)』という電子マネーカードを発行していますが、nanacoとの間に互換性はありません。
特に、海外出張が多いなどグローバルに活躍される方にとっては、例えAMCにマイルをまとめることができたとしてもnanacoは場合によってお勧めできかねるかもしれません。ポイントを直接ANA SKYコインに流して航空券を買えるのが魅力であり、持つのであれば、これを利用しない手はありません。
ANA SKYコインに興味がない、セブンネットも利用しないというのであれば、セブン=イレブンで楽天Edyや交通系電子マネーが使える以上、お手持ちのAMC楽天Edyカードやソラチカ・東急×ANAといったPASMO搭載ANAカード、下手すればICOCAで事が足りてしまいます。