2013年3月28日木曜日

KLIAで麻薬逮捕、竹内被告2審も死刑

2009年10月、中東から日本に密輸される予定だった麻薬を運んでいた日本人女性が、乗り継ぎ地のマレーシア・クアラルンプールで見つかり逮捕された一件は、Traveler's Supportasiaでも大きく取り上げました。麻薬密売目的所持の法定刑が死刑しかない現地で、当然のごとく1審死刑の判決を受けた彼女。事件から4年半、ついに控訴審の判決が下りました。

竹内真理子(たけうちまりこ)被告(38歳、青森県出身)は、2009年10月30日のエミレーツ航空(EK)342便でKLIA空港に着いたところ、手荷物検査で覚醒剤(メタンフェタミン)4.7Kgの所持が見つかり、麻薬取締法違反で逮捕されました(前記事「KLで日本人運び屋逮捕、死刑必至」参照)

マレーシアとシンガポールでは、麻薬密売目的所持で逮捕された場合法定刑が死刑しかなく、外国人でも確定すれば容赦なく執行されてしまうことで知られています。運び屋から品物を受け取る日本の暴力団関係者の間でも、マレーシア経由の輸送は余程のことがない限り回避するのが常識だと言われているのに、なぜ彼女はKL乗り継ぎでの日本行きを選択したのか。裁判では、この動機が争点となりました。

マレーシアの司法制度は、日本と同じ三審制が採用されています。1審のセランゴール高等法院(日本の地方裁判所に相当)は、竹内被告が以前にもマレーシア経由で麻薬の運びを引き受け、通過させていたことを指摘。2011年10月25日、求刑通り死刑の判決を言い渡します。弁護側は2審・シャーアラム控訴院(セランゴール州シャーアラム市、日本の高等裁判所に相当)に控訴しますが、昨日3月27日、控訴を棄却する判決を下しました。

弁護側は

「被告は知人の指示で荷物を運んだだけ。中身が麻薬であることは知るはずもなかった」 

と主張したものの、裁判長は

「1審判決を覆せるだけの証拠が見当たらない」

として控訴を退けました。

今後は、上告審・マレーシア連邦裁判所(プトラジャヤ市、日本の最高裁判所に相当)にステージを移すことになりますが、上告審で有罪を覆せる確率は極めて低く、1957年のマレーシア独立以来、初めてとなる日本人の死刑確定は時間の問題となってしまいました。