日本中央競馬会(JRA、東京都港区)は、5月18日(日)にシンガポール・クランジ競馬場で予定されている「シンガポール・インターナショナルデー」の2本のGIレース(SIAインターナショナルカップ/国際GIと、クリスフライヤー・スプリント/国際GII)に、日本馬が出走できないと発表しました。
シンガポール共和国の動物検疫関連法規によりますと、「出国日当日から遡って90日以内に在厩していた施設のどこか1箇所でも、競走馬に特有の感染症を発症した馬がいた場合」、感染したのが出走予定馬自身でなかったとしても、検疫を通過できないことになっています。日本では、2007年の冬から馬インフルエンザの流行があり、栗東トレーニングセンター(滋賀県栗東市)では3月12日、美浦トレーニングセンター(茨城県美浦村)では3月13日まで、発症例が残っていました。最新の発症例からレース開催まで60日しか開いておらず、検疫通過基準を満たせないため、出走予定だった日本馬3頭は出走が不可能になりました。
特にシャドウゲイト(美浦・加藤征弘厩舎、牡6歳)は、昨年のSIAインターナショナルカップで優勝。日本調教馬のV2に貢献し、2連覇をかけていただけに陣営にとっては極めて残念な判断でしょう。
シンガポールインターナショナルデーは、東南アジア最大の競馬の祭典です。董事長ふくちゃんも今年は取材を予定し、当日クランジ競馬場に乗り込むつもりでいましたが、これでは中止せざるを得ません。
JRAはクランジ競馬場で開業している高岡秀行調教師(元道営ホッカイドウ競馬騎手・調教師)と仁木進調教師(元宇都宮競馬調教師)を通じて、シンガポールの厳しい検疫通過基準を知っていたはず。2007年11月に最初の馬インフルエンザ発症例が出た時点で、2008年1月下旬までに馬インフルエンザへの対応を終えていなければ、SIAインターナショナルカップに間に合わないというタイムスケジュールは描けていて、それをクリアしようとしていたのでしょう。そこで対応が後手後手に回り、2月になっても発症例を出した。その時点で今年のSIAインターナショナルカップはアウトだったはずで、それならばすぐに高岡調教師に連絡して、「検疫不通過確定」の回答を得ていなければおかしい。そして、日本調教師会と日本馬主協会連合会を通じて、「検疫を通過できないのでSIAインターナショナルカップへの出走申し込みをしないように」と通達しておけば、今回のような事態にはならなかったでしょう。
それなのに対応が遅れ、出走申し込みを受けるどころか、施行者のシンガポールターフクラブに選出手続きまでさせてから、直前で検疫不通過!? いい加減にしろ!! しかも東南アジア在住の同胞にとって年に1度の楽しみが奪われたのですから、とても納得できたものではありません。
来年5月の次回開催では、馬インフルエンザから立ち直った日本馬の元気な姿を取材したいところです。