2007年1月28日日曜日

来タイプロボクサーの「緊急業務行為」

 3月2日に予定されているグリーンツダジム(大阪)所属選手の来タイ興行で、注目すべき選手がいます。
 奥本貴之、15歳。奈良県大和高田市立片塩中学校をこの3月に卒業。日本ではボクサーライセンスをまだ取得できない年齢ですが、WBAミニマム級暫定チャンピオン、高山勝成選手のスパーリングパートナーを中学生にして務めたという逸材。高校受験を捨て、満15歳の誕生日から取得OKというタイのライセンス制度を利用して、プロ経験を積みに来るそうです。

 奥本選手は17歳(JBCボクサーライセンス受験資格)になる2008年11月まで、日本に住みつつも日タイを往復しながら練習、タイで試合をすることを計画。17歳になったら、日本にランカーとして凱旋しようという狙いです。
 この場合、タイ国内で試合に出場して報酬を受け取る、いわゆるプロスポーツ活動をするには、外国のジムに所属してトランジットS(スポーツ選手)ビザで来タイする、または最悪ビザなしで入国する事態になっても入国後に「緊急業務行為の届出」をしないと不法就労になる恐れがあります。プロボクサーといえども、例外ではありません。外国側が報酬を支払う場合でも同様です。この点が、実際にタイのジムに所属、バンコクに住んだ木村隼人選手(横浜・さくらジム所属)の前例とは違います(前記事「15歳、タイ在住日本人プロボクサー!?」参照)
 奥本選手の場合は、あくまでも練習拠点は大阪・グリーンツダジム。試合に出場するための短期滞在なら、業務期間は試合当日の1日のみ。最大15日まで認められる緊急業務行為を届けてさえいれば、支障はありません。

 そこで、緊急業務行為の届出方法に注目してみます。これは、短期出張でタイに来られる他業種のビジネスマンにも応用できます。

1.タイに入国する
 ビザの種類は関係ありません。日本人の場合、トランジットSビザ、ビザなしは30日間、正規観光ビザは60日間の在留許可が下ります。

2.タイ側受け入れ先から緊急業務行為を届け出てもらう
 必要な書類を労働省(02-245-2533)にFAXしてもらいます。

・労働省所定の届出用紙(トートー11)に必要事項を記入
・本人のパスポートのコピー
・受け入れ先の商業登記簿謄本
・折り返し先のFAX番号を必ず記入

3.受理印をもらった届出用紙を持って現場に出る

 労働省では届出が正確になされていれば受理印を押して、折り返しFAXしてくれます。当日は、送られてきたFAXを持って業務に向かいます。 

 18歳までに史上最年少で世界タイトル奪取という大きな目標を持つ奥本選手。一刻でも早くプロの道に進ませるためにタイへという流れは、日本のプロボクシング界に優秀な人材を確保し、ファンの増加につながります。Traveler's Supportasiaも奥本貴之選手を応援します。

(3月1日追加)
 タイ側とグリーンツダジムとの調整の結果、奥本選手が出場する試合は4月6日(金)に延期になりました。バンコク首都圏内(会場の詳細がわかったら追加します)で行われるこの試合、ビザクリアの関係で行けませんけどTVで見るつもりです。当日は、15時30分(日本時間17時30分)からチャンネル7でタイ国内テレビ中継の予定。

(5月2日追加)
 延び延びになっていた奥本選手のデビュー初戦が1日、ノンタブリ市で行われました。直前になって変更されたというタイ人選手を相手に4回戦を行い、判定までもつれ込んだものの初陣を白星で飾りました。