2021年1月23日土曜日

口座維持手数料が当たり前の時代、始まる

三菱UFJ銀行(東京都千代田区、全国銀行協会加盟)は今年7月以降に開設される新規の普通預金口座を対象に『未利用口座管理手数料』を設けると発表しました。同様の制度はりそなホールディングス(大阪市中央区、東証1部上場)や一部の信用金庫が既に導入しており、MUFGの対応はこれらに次ぐもの。三井住友銀行(東京都千代田区、全国銀行協会加盟)も導入を決めており、日本の銀行でも口座維持手数料の制度が当たり前となる時代が到来しました。

日本の多くの銀行では、これまでは口座維持手数料を無料としているところがほとんどで、旧シティバンクN.A.の時代から口座維持手数料の制度があったプレスティア(SMBC信託銀行:東京都港区)は非常に珍しい存在でした。

りそなホールディングス傘下のりそな銀行(大阪市中央区、全国銀行協会加盟)・埼玉りそな銀行(さいたま市浦和区、全国銀行協会加盟)は2004年4月1日以降に新規開設された口座、またはそれ以前に長期未利用で取引停止になっていた口座が2004年4月1日以降に復活した、あるいは2004年4月1日以降に取引店を変更した口座が未利用口座管理手数料の対象となります。旧奈良銀行では2006年1月4日以降に停止から復活した口座、旧近畿大阪銀行では2014年10月1日以降に新規開設、関西みらい銀行(大阪市中央区、全国地方銀行協会加盟)では2019年10月15日以降新規の口座が対象です。

残高が1万円未満の状態で2年間一度も利息精算以外の取引がない場合、事前に封書で警告が行き、それから3カ月経っても取引が再開されない場合に未利用口座管理手数料の徴収が始まります。手数料は1カ月あたり100円にあたる1年間1,200円(税込み1,320円)。年に1回引き落とされ、その結果残高が0になった時点で強制的に解約となります。残高が年間の手数料額に満たない場合は、全額引き落とされた上その時点で強制解約になります。ただし、カードローンが契約されている、または定期性預金・外貨預金などの残高がある場合は対象外です。

りそなグループでは、この制度を導入した結果休眠預金等活用法(2016=平成28年法律101号)による預金保険機構(東京都千代田区)への移管がほとんど起こらなかったといい、他行も追随することにした模様。地銀では最大手の横浜銀行(横浜市西区、地銀協加盟)が2020年5月22日以降、静岡銀行(静岡市清水区、東証1部上場)が同年10月1日以降開設の口座に対して実施しており、今回3メガバンクもこの流れに乗ります。既に三井住友銀行は今年4月1日以降開設の口座に対して条件付きで導入すると発表しています。

三井住友の条件というのは、個人の場合

・SMBCダイレクトの利用設定がなされていない
・2年間1度も出入金取引がない

の両方を満たす場合で、SMBCダイレクトが設定されていれば自行の基準で最大5年間まで出入金取引が無くても口座を維持できます。これに対してMUFGでは、今年7月1日以降に開設される口座全てが対象になります。金額や強制解約の条件は他行と同じです。

既にお持ちの口座は取引店変更や休眠預金等活用法該当などのイレギュラーがない限り対象になりませんので、お金の出し入れなどのメンテナンスを定期的に施して、維持していってください。逆に、未利用口座管理手数料を問われることなくMUFGの口座を持ちたいというのであれば、6月30日までがラストチャンスということです。

「預けているだけでは勝手に残高が減っていく」時代の始まりです。日本と任国の両方の口座に給与が振り込まれる海外駐在員や、老齢年金の受取口座を国内の金融機関にしている受給者の方は問題ありませんが、そうでない現地採用者や外こもりすとは、この機会に持っている口座の整理、あるいは管理を徹底されることをお勧めします。

なお、みずほ銀行(東京都千代田区、全国銀行協会加盟)では当面、この制度の導入予定はありませんが、みずほに口座をお持ちの方もいつ導入されてもいいように準備が必要です。