BTSグループホールディングス(チャトチャック区、SET上場)は、BTSパホンヨーティン線の最後の延長区間となるワットパシーマハタート(バンケン区)とクコット(パトゥムタニ県ラムルッカ郡)の間と、シーロム線クルントンブリ駅(クロンサン区)から分かれる中量軌道系輸送(APM)『ゴールドライン』の2路線を同時に営業開始しました。これにより、1999年の1期開業から22年目でBTSスクンビット線・パホンヨーティン線の全線が完成。同時にBTSはバンコク首都圏の北隣のパトゥムタニ県にも進出しました。
BTSパホンヨーティン線は、都市鉄道公団(MRTA、ホイクワン区)との共同事業で建設が進められ、今回はワットパシー駅から北に9.9Km延長。新たに7つの駅が開業しました。ワットパシーから順にパホンヨーティン59、サーイユット(バンケン区)、サパンマイ、プミポン病院、空軍博物館(ここまでサーイマイ区)、コーポーオー交差点(ドンムアン区)の6つの途中駅を経て、終点のクコット駅に達します。サパンマイ駅は、ラムルッカやサーイマイ区、クロンサムワ区方面へのバスに乗り換えが可能で、バンコク首都圏最北部の新たな交通の要衝が誕生します。
プミポン病院駅はその名の通り、ラマ9世プミポン先代国王の本名を冠した空軍所管総合病院の最寄り駅。その次の空軍博物館駅で降りると、大東亜戦争期に日本から供与された「立川九九式高等練習機」など往年の名軍用機が展示されている博物館へアクセスできます。
バンコク首都圏最後の駅となるコーポーオー交差点駅も、BTSとバスの乗り継ぎで欠かせない地位を築くことになりそうです。ランシットやナワナコン、アユタヤ県方面、またランシット乗り継ぎでオンカラック、ナコンナヨク県方面へ向かうお客様は、ここで[34][39][503][522]に乗り換える必要があります。クコット駅でもランシット行きのバスはありますが、乗り換えできるバス路線自体わずか3路線しかなく、そのうち首都圏バス公団(BMTA)のバスは[543]1路線だけです。
コーポーオー交差点駅の先で線路はパホンヨーティン通りを離れ、ラムルッカ通りを一路東へ。BTS全線の中でもっとも長い駅間距離2.6Kmを走って、終点のクコット駅に到着します。
一方、ゴールドラインは首都圏政庁(BMA:プラナコン区)の外郭団体『クルンテープタナコム』との共同事業。シーロム線のクルントンブリ駅(クロンサン区)から分かれて、トンブリ中部のチャオプラヤ川沿いに作られたショッピングセンター『The Icon Siam(アイコンサイアム)』との間を結ぶわずか1.7Kmの路線です。1.7Kmというのは、日本の私鉄で最も短い芝山鉄道(千葉県芝山町)の2.2Kmよりさらに500mも短く、JR鶴見線の『大川支線』こと、安善~大川間(横浜市鶴見区)とほぼ変わらない距離です。当然、BTSスクンビット線(パホンヨーティン線含む)・シーロム線で使っている電車では輸送力過剰になるとみて、シンガポールのLRTや日本の新交通システムに相当する無軌条ゴムタイヤ駆動の小型車両を導入しました。
ゴールドラインの駅はクルントンブリ以外に2つ。1つ目のチャルンナコン駅(クロンサン区)がこの路線の最大の目的である、アイコンサイアムの最寄りです。チャルンナコン駅を出ると、すぐに終点のクロンサン駅。トンブリ地区有数の大規模公立病院、タクシン病院の最寄り駅となります。BTSCは当初、チャルンナコン駅での打ち切りも検討したといいますが、首都圏政庁の意向を受けたタナコム社がタクシン病院まで建設することを事業承認の条件とした模様です。