ベトナム交通運輸省(ハノイ市ホアンキエム区)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19、別名武漢肺炎)のパンデミックを抑え込むため国内のほとんどすべての交通機関に運休や欠航を命じていましたが、制圧のメドが立ったとして順次、運航を再開できる体制を整えることになりました。東南アジアの主要国では初めて、本格的に人と物の移動が再開します。
南北に長い国土の南と北に大都市がありながら、高速鉄道が整備されていないベトナムは、人の長距離移動を飛行機に依存しています。その2大都市同士を結ぶハノイ(ノイバイ)~ホーチミンシティ(タンソニャット)線では、ベトナム航空(VN=HVN)とジェットスターパシフィックエアウェイズ(BL=PIC)、ベトジェットエア(VJ=VJC)に加えて昨年、新規キャリアのバンブーエアウェイズ(QH=BAV、ビンディン省フーカット県)が参入し激しい競争が繰り広げられていますが、今回のCOVID-19に伴う移動制限で、一時は各社1日1往復ずつしか飛ばすことができない状況に追い込まれていました。
しかし、中国との陸路国境を比較的早期に封じるなどしたことが奏功し、4月29日時点で国内での感染者は270人、死亡まで行った症例はゼロと、ASEAN加盟国中3位の9000万人の人口を抱える国家としては、非常に優秀なレベルで感染拡大を抑え込むことに成功しています。このため、交通運輸省は航空や鉄道による長距離移動を本格的に再開できるメドが立ったと判断しました。
明日30日は、ハノイ~ホーチミン間で各社合わせて1日28便を運航しますが、明後日5月1日(金)からは1日計36便、5月16日(金)からは1日52便を飛ばせるようになります。ハノイ~ダナンとホーチミン~ダナンは5月1日から1日計12便まで、5月16日以降は1日計20便とほぼ通常の状態にまで回復します。ハノイ・ホーチミンと地方空港を結ぶ路線については、5月1日以降通常の態勢に戻すことができるようになります。
なお国際線についてはいつ再開できるかまだ発表されていません。ベトナム航空、ベトジェットエア共に5月31日までの日本発着便全便が欠航または貨物専用での運航に切り替えられています。
《5月12日追加》ベトジェットエアは国内線全45路線の運航を5月10日までに再開しています。これに合わせた特別セールを開催しており、賞味運賃18,000ドン(約90円)からという都市間バスも真っ青の料金が設定されています。