2018年9月14日金曜日

dtacが3G850MHz帯を停波、一部機械で通信支障か

タイ携帯電話業界2位のdtac(正式社名:トータルアクセスコミュニケーションズ パトゥムワン区、SET上場)は、通信放送政策委員会(NBTC、パヤタイ区)の命令により2010年から使ってきた3G850MHz帯(W-CDMAバンド5)を停波することになりました。

タイでは3G携帯電話の導入が他のASEAN諸国と比べて大きく遅れ、2011年8月から商用サービスが始まりました(前記事「AISの3Gは周波数の違いに注意」参照)。当初は、dtacとtruemove(ホイクワン区、SET上場)が850MHz帯、AIS(パヤタイ区、SET上場)が900MHz帯(W-CDMAバンド8)を使っていましたが、13年に2.1GHz帯(W-CDMAバンド1)が開放されたのを受けてtrueは早々と850MHz帯を捨て、AISも16年に4G900MHz帯(LTEバンド8)へ移行したのに対し、dtacは引き続き850MHz帯の電波を出してきました。地方では現在でも850MHz帯の電波しか出ていない基地局が残っている可能性があるといいます。

しかし、この周波数帯はdtacに事業権を与えているCATテレコム(ラクシー区)が権利を保有していて、dtacとの間で結ばれていた権利の賃借期限が18年9月15日までとなっていました。dtacがCATテレコムに賃借契約の更新を求めたものの、CATテレコムを監督するNBTCは、18年8月に行う予定だった入札に参加した上でAISと同じ4G900MHz帯へ移行するよう求め、最終的にdtacはこの提案を拒否することを決めます。これにより、dtacは試験運用の時代から10年近く使ってきた850MHz帯を捨て、3Gサービスを2.1GHz帯に一本化せざるを得なくなりました。

多くのユーザーは2.1GHz帯や4G1.8GHz帯(LTEバンド3)といった他の周波数にも対応した端末を使っているため問題はありませんが、ノートパソコンのUSBやPCカードスロットに差し込んで使う『エアカード』と呼ばれるデータ通信専用端末やフィーチャーフォンの一部、また2011年から12年にかけてタイで販売されたAndroidとBlackberryの一部端末に3G850MHz帯しか対応していない機種があり、これらを使っている方は、9月16日以降端末を取り替えなければ通信が出来なくなります。


trueが以前、2Gユーザーの3G移行用に販売したフィーチャーフォンの『Super3』は、3G850MHz帯と2.1GHz帯の両方に対応しており、850MHz帯を使っていたユーザーの移行に適しています(前記事「3Gフィーチャーフォンの新品が激安で買える」参照)