2018年7月3日火曜日

ICOCAエリア一体化で交通系ICカードの利便が変わる

JR西日本(大阪市北区、東証1部上場)は、現在近畿圏・北陸・岡山・広島・山陰・四国の6つに分かれている交通系ICカード『ICOCA』の利用エリアを一本にまとめます。9月15日(土)から、近畿圏・岡山・北陸エリアを隔てていた未導入区間でサービスを開始するのに合わせ、これまで存在していたエリアの概念をなくすものです。導入後は、普通列車利用で片道200Kmまで、特急列車利用なら200Km以上の区間でもキャッシュレスで乗れるようになります。

9月15日にICOCAが導入されるのは、次の区間です。

・山陽本線 相生(兵庫県相生市)~和気(岡山県和気町)
・赤穂線 播州赤穂(兵庫県赤穂市)~長船(岡山県瀬戸内市)
・北陸線 近江塩津(滋賀県長浜市)~大聖寺(石川県加賀市)

これにより例えば、関西空港駅(大阪府泉佐野市)を出発して北陸方面へ行くお客さまであれば、大阪駅か新大阪駅(大阪市淀川区)で特急『サンダーバード』に乗り換えることを条件に、サンダーバードが止まる敦賀駅(福井県敦賀市)や福井駅(福井市)、最高で金沢駅(石川県金沢市)まで乗車券を現金で購入する必要が無くなります。ただし、特急券は現金かクレジットカードで別途購入しなければなりません。

また、北陸線内でも普通列車しか止まらない駅へ行く場合は、今年3月から導入された片道200Km制限に引っ掛かる恐れがあるためその直前の特急停車駅で一度改札を出る必要があります。関西空港発着で、南今庄駅(福井県南越前町)以北の普通列車しか止まらない駅へ行くのであれば、敦賀駅で一度改札を出ないとアウトです。

同様に、金沢駅から先の並行在来線区間(IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道)へ乗り継ぐ方は、金沢駅で一旦改札を出なければなりません。乗車区間に並行在来線が含まれる場合は、JR線部分も含めて通し精算できるのが大聖寺駅までとなるためです。

関西空港駅からきのくに線(紀勢線)へ向かう場合も、ICOCAが利用できるのが特急停車駅に限られているので注意が必要です。最高で新宮駅(和歌山県新宮市、関空から238.2Km)までICOCAで乗れますが、特急『くろしお』が止まらない駅へ行く場合は、降りる駅の直前の特急停車駅で改札を出て、そこから先は現金で買い直しとなります。


岡山・広島・高松方面へ全区間JR線で行く場合は、JR神戸線・山陽本線で関西空港からの営業キロが200Kmギリギリとなる吉永駅(岡山県備前市)までに一度改札を出なければなりません。もっとも、吉永駅は普通列車の本数が山陽本線の中でも最も少ない(日中60分間隔)区間のため、現実的にはJR神戸線新快速電車の終点、姫路駅(兵庫県姫路市)で改札を出ることになるかと思われます。

姫路駅まで民鉄(南海→阪神電車→山陽電車)で行けば、岡山駅・高松駅まではクリアできますが広島方面へは途中、河内駅(広島県東広島市)で200Km制限がかかるため、福山駅(広島県福山市)か三原駅(広島県三原市)で1回改札を出ないと行けません。

なお、全国相互利用サービスに対応した他の交通系ICカードでも同様の対応をしますが、青春18きっぷの発売期間中は、普通列車のみの利用であれば金券ショップなどで18きっぷの回数売りを買った方が結果的にお得になります。ICOCAの片道200Km制限を気にすることもなく、どの駅でも改札を自由に出られる他、車内で寝過ごした場合の逆戻りもできます。