鉄道庁(SRT、パトゥムワン区)とKTMB(マレーシア鉄道公社、クアラルンプール)は、タイとマレーシアの国境を通過する国際旅客列車について、取り扱いを大きく変更しています。タイ側、マレーシア側それぞれの列車がパダンバサール駅(ソンクラー県サダオ郡)で打ち切られ、以前あったバンコク(ファランポーン)~バターワースや、ハジャイ~KLセントラルといった通し運転の列車は廃止になっていますので、注意が必要です。
KTMが近代化政策の一環で、パダンバサール駅を含む西海岸線全線を日本のJR在来線と同じ複線電化に改良したのに対し、タイ側は在来線鉄道への投資に消極的で、ディーゼルカーや機関車牽引による運転を維持しているためです。
タイ側の国際列車として、バンコク(ファランポーン)~バターワース間に寝台専用特急(SP.EXP)35/36列車が毎日運転されていましたが、この列車は時刻はそのままでファランポーン~ハジャイ(ソンクラー県ハジャイ市)間の運転となり、列車番号も『31/32』と変わっています。
ファランポーン~パダンバサール間運転の寝台専用特急自体は存続しているものの列車番号が『45/46』と改められ、ファランポーンを31列車の25分後に出発する後続のスンガイコロク行き寝台専用特急『37/38』列車にハジャイまで併結されることになりました。これは日本に当てはめると、旧国鉄時代はもちろん、JRになってからも存在する二層建て列車(寝台特急『サンライズ瀬戸・出雲』など)と同じ考え方になります。
《ハジャイ~パダンバサール間の短距離列車》
バンコクを前日の午後に出発した31列車に、ハジャイ駅で接続するパダンバサール行きの列車として、『DRC947』列車が運転されています。また午後には、KLセントラル直通だった21列車のタイ国内区間における代替として、『DRC949』列車が運転されています。
パダンバサール発は、どちらも折り返しとなる『DRC948』『DRC950』列車の1日2本。これに、ファランポーン直通の寝台専用『SP.EXP45/46』が加わって、1日3往復の運転を維持する形となっています。
『DRC』列車はハジャイ発着の他の列車と運賃が別建てで、切符も原則ハジャイ駅かパダンバサール駅での購入です。大人片道80Bt.。
《KL直通の列車はパダンバサール打ち切り》
KTMの列車も2000年代までは運転本数が少なく、バックパッカーの泰馬国境越えはペナンやバターワースとハジャイを結ぶロットゥーが中心、マレーシア側からの入国者もタイ側の花街ダンノックチャンルンを目指してマイカーで乗り付けるエロ事師ばかりという、ある意味寂しいものでした(前記事「サダオからマレーシアへ」参照)。
現在は「コミュータ(Komuter)」と呼ばれるバターワース行きの普通電車が日中60分間隔で1日14本、「ETS(Electric Train Serviceの略)」というクアラルンプール直通特急電車が毎日5往復運転されています。
KLからハジャイまで直通する夜行の客車列車だったインターシティ『21/22』列車もETSに切り替えの上、パダンバサール~グマス(ヌグリスンビラン州グマス市)間の『EG9421/9424』列車に生まれ変わりました。9424列車はKLセントラル駅23時27分発の夜行列車で、パダンバサール5時1分着。所要5時間34分という大幅なスピードアップを実現しました。