2017年10月24日火曜日

JALとタイ国際航空の日本線コードシェア、終了へ

日本航空(JL=JAL 東京都品川区、東証1部上場)とタイ国際航空(TG=THA チャトチャック区、SET上場)は、1988年(昭和63年)から続けてきた日泰間路線でのコードシェア提携を、今夏ダイヤ限りで打ち切ると発表しました。バンコク以遠のTG運航便で行っていたコードシェアも、既に同じワンワールドメンバーズのスリランカ航空(UL=ALK、コロンボ)とバンコクエアウェイズ(PG=BKP チャトチャック区、SET上場)に切り替えられており、今回の解消で両社間の関係は顧客ベースでは完全に切れることになります。

JALとTHAIの関係は、1960年(昭和35年)にTHAIが初めての国際線を運航した時に遡ります。THAIは初の国際線の最終目的地に東京・羽田空港を選び、地上業務を当時、日本の国際線航空分野を独占していたJALに委託したのが始まりです。その後、成田空港や伊丹・大阪国際空港へ就航した時もJALに委託し、1988年(昭和63年)の名古屋~バンコク線を皮切りに共同運航をスタートさせました。この時の共同運航は、JALとTHAIが互いに毎日1便を運航し、相手社運航便の座席の一定割合を確保して互いに売り合うというもので、JL運航便をTGで始まる同一便名の便として、THAIから購入することもでき、なおかつ格安航空券でも乗ることができました。1995年(平成7年)には、関空と福岡発のJL運航便にも拡大。福岡発のJL便が廃止された後も、暫くはそのままの形で続けられました。

しかし、THAIは1997年(平成9年)にスターアライアンスの結成に参加します。そのスターアライアンスにANA(NH、東京都港区)が参加すると、スターアライアンスを通じたANAとの関係構築にあたって、これまで築いてきたJALとの関係が一転、制約に変わります。

スターアライアンスでは、メンバー社が他のアライアンスに加盟する航空会社と関係を持つにあたって、厳しいルールを設けています。他のアライアンスの加盟社とコードシェアをしている便では、自社以外のスターアライアンスメンバーズがコードシェアをすることができず、マイレージも自社以外のスターアライアンスメンバーズのプログラムには加算できません。包括的な業務提携や、資本提携に踏み切る場合は、スターアライアンス社長会の了承が必要です(前記事「ガルーダ航空のスカイチーム加盟が確定」参照)

THAIは2004年(平成16年)、JALとの同一便名による共同運航を終了して、THAI運航便にJALが4桁便名でコードシェアし、使える券種は普通運賃か正規割引(PEX)、つまりJALが直接乗客に販売した券種に限るとするルール変更をしました。他の航空会社が行っている、一般的なコードシェアのルールに合わせた訳です。しかし、JALがコードシェアしているTHAI便にANAがコードシェアできない規定はそのまま残ったため、ANAは関空~バンコク(スワンナプーム)線で時間帯的にドル箱のTG623/622便にコードシェアすることができず、中部セントレア~スワンナプーム線も日航破綻でJAL便が一時廃止されたにもかかわらず、ANAは新規にコードシェアできる便がない事態に陥りました。

THAIではJALに関係見直しを申し入れ、JALもコードシェアパートナーをバンコクエアウェイズに順次切り替えることにしたものの、成田線のJL運航便までPGへの移行が進んだところでタイ運輸省に対する国際民間航空機関(ICAO)のSSC発行があり、コードシェアも含めて新規路線設定や増便ができなくなったため、以後は延期されていました。そして今年10月、SSCが解除される見通しが立ったことを受けてTHAIは改めてJALに関係の見直しを要請して受け入れられ、コードシェアの完全終了が決まりました。