エアアジア・ジャパン(DJ=WAJ、愛知県常滑市)は、10月末からの今冬ダイヤで運航を始めるメドが立ったとして、中部セントレア~新千歳線の運航を開始すると発表、航空券の販売を始めました。
《10月29日から有効》
DJ001 NGO0735~CTS0925 DAILY
DJ003 NGO1710~CTS1900 DAILY
DJ002 CTS1000~NGO1205 DAILY
DJ010 CTS1935~NGO2140 DAILY
(機材はエアバス320ceo 普通席=エコノミークラスのみ180席)
2代目エアアジア・ジャパンは、ANA(NH、東京都港区)との合弁で設立されながらわずか1年で撤退に追い込まれた初代(JW=WAJ、現・バニラエア/JW=VNL)の夢を諦められなかったAirAsiaグループと、楽天(東京都世田谷区、東証1部上場)など日本側有志企業、それに投資ファンドの出資で2014年に設立されました(前記事「2代目エアアジア・ジャパン始動へ」参照)。
最速で15年夏ダイヤからの運航開始を目指し、航空運送事業許可(AOC)の取得を最優先させた2代目エアアジア・ジャパン。機材はAirAsiaグループがエアバスに対して持っている発注残で調達できる、運航乗務員も外国人で構わないという他の国のAirAsiaと同じ手法で、一刻も早くAirAsiaの赤い飛行機を再び日本の空へと、トニー・フェルナンデスCEOは目論んでいました。
しかし、やはりパイロットは日本人を集めないとダメということになり、日本側出資企業の一つ、ノエビアホールディングス(神戸市中央区、東証1部上場)の子会社『ノエビアアヴィエーション』(大阪府八尾市)と提携して養成することにしたものの予定より遅れます。安全管理体制確立も後回し。それを見かねた日本人トップがサジを投げるかのように退職し、スカイマーク(BC=SKY、東京都大田区)出身の井手隆司会長と有森正和副社長兼CFO(財務責任者)を迎えるといったドタバタが相次ぎ、気が付く頃には当初の予定から2年以上もずれ込む始末になっていました。
東京で編集されている業界専門サイト『Aviation Wire』は井手会長の話として
「AirAsiaグループ側は事業許可(AOC)さえ取ればすぐに運航を始められると思っていたようだが、何よりも安全体制の確立が先。機材も来る前にAOCだなんて、日本の常識で言ったら逆だろう」
「当初の事業計画通りならば、17年冬ダイヤでは中部セントレアをハブに国内2路線、国際6路線を就航させているはずだった。18年にはAirAsiaX(D7=XAX)と同じエアバス333の導入も検討されていた」
と伝えており、事業計画の見積もりの甘さと、深刻な社内の状態を覗わせていました。しかし、井手会長が直前で代表取締役を退いて会長執行役員になるなど身を削る努力を重ね、ようやく運航開始に漕ぎ着けた形となりました。