国内携帯3位のソフトバンク(東京都港区)は、旧ウイルコムから引き継いで現在は格安SIM『Y!Mobile』のブランドで提供しているPHS(簡易型携帯電話)サービスについて、個人向けの新規契約、機種変更受付を2018年(平成30年)3月31日限りで終了すると発表しました。それ以降は主にスマートメーターで使われる『テレメータ向けプラン』に対する、電気・ガス・水道事業体や自販機オペレータなどからの申し込みに限って受け付けるとしており、1990年代から20年以上に渡って続けられたPHSは、あと1年で事実上の産業遺産となります。
PHSは、2Gケータイが出始めだった1995年(平成7年)、音声通話からサービスが始まりました。当時は、auの前身であるDDIセルラーグループやNTT docomoが別会社を作って全国展開しており、90年代の末には中国や台湾、タイなどでも事業者が立ち上がって全盛期を迎えました。
当のY!Mobileは、旧ウイルコム時代の2013年秋モデルで、3Gケータイとの併用ができるデュアル端末(AQUOS PHONE es)を発売し、将来的なPHSサービスの終息を予想した販売政策を実行していました(前記事「Y!Mobileの「3年縛り」にやられた!1年残して解約」参照)。この機種が発売から既に4年を過ぎ、PHS専用端末として最後に発売された『Heart 401AB』も2年を経て、今後は同じY!Mobileの携帯網へMNPしてもらう形でiPhoneへ移行させるというスキームを描いたのではないかと、Traveler's Supportasiaでは分析しています。
なお、PHSのバックボーンとなっている固定電話も、NTT(日本電信電話:東京都千代田区、東証1部上場)が2025年までにIPベースの方式へ切り替えると発表しており、向こう10年以内にはテレメータ通信も携帯電話網や光回線に取って代わる予定、ソフトバンクではPHSサービスの完全終息に向けたスケジュールを作成し、近く発表するとしています。