2016年7月7日木曜日

シンガポールMRTの中国製新車、全車リコールへ

シンガポール共和国陸上交通庁とSMRTグループ(シンガポール、SGX上場)は、2011年からMRT東西線・南北線用として納車された『C151A形』電車35編成(1編成6両=計210両)すべてをメーカーに返品し、改修工事を行うと発表しました。英語紙ストレイツタイムズや中国語紙『聯合早報』など、シンガポール国営メディアが6日付で一斉に報じたものです。

C151A形電車は、1987年の開通当初から走っている『C151形』の後継として、川崎重工業(神戸市中央区、東証1部上場)がSMRTに製造を提案したものです。C151形はオールジャパンで製造され、川重兵庫工場(神戸市兵庫区)以外に日本車両製造(名古屋市熱田区、東証1部上場)、近畿車両(大阪府東大阪市、東証1部上場)、東急車両製造(横浜市金沢区、現・J-TREC総合車両)でも組み立てが行われましたが、今回のC151A形は、青島四方機車車両(中国山東省青島市)が川重の下請けとしてほぼ全車両を組み立て、14年までに35編成210両を完納していました。

しかし、ストレイツタイムズの記事によるとこのうち少なくとも26編成が安全基準を満たしていなかったとのこと。具体的には、13年に行われた初めての重要部検査(要検)で、車体と台車の間に挿入される「枕ばり」と呼ばれる部品が車体と直接接する部分に亀裂が生じていたことが確認されたといいます。陸上交通庁では最初の編成が初めての全般検査(全検)を迎えるタイミングとなった今年、中国側と調整します。その結果、35編成すべてを中国・青島の四方機車本社工場に順次送って改修、その費用は品質保証期間内だったことから中国側が負担することで合意が成立。6月12日夜、第1陣がチャンギ基地から青島に向け搬出されていたことが現地Webメディアの取材で明らかになりました。

陸上交通庁とSMRTでは、電車の運行に影響がないように改修のスケジュールを立て、3年後の2019年までに全編成の改修を終える予定にしています。現行のC151形電車も、制御機器を最新のインバータ制御に取り替えてあと20年程度は使う計画になっています。