2015年10月16日金曜日

6年目の区切り…竹内被告ついに死刑確定

マレーシア連邦裁判所(プトラジャヤ市、日本の最高裁判所に相当)は15日、2009年10月の麻薬密輸事件で死刑の判決を受けていた竹内真理子被告(41歳、青森県出身)の上告を棄却する判決を言い渡しました。共同通信がクアラルンプール支局発で報じたもので、日本人がマレーシアで死刑確定となるのはもちろん初めてとなります。弊誌Traveler's Supportasiaで最も多くのヒットを頂いたクアラルンプール・KLIA空港での運び屋摘発事件は、事件発生から満6年で一つの区切りを迎えることになりました。

竹内被告は2009年10月30日、ドバイからのエミレーツ航空(EK=UAE)342便でKLIA空港に到着し、マレーシア航空(MH=MAS)88便に乗り継いで成田空港へ向かう予定でした。ところが、預け手荷物がスーツケース3個分もあったことを不審に思った税関が竹内被告を止め、荷物を開けたところ、メタンフェタミン(覚せい剤)4.7kg(日本での末端価格4億円以上)が見つかりました(前記事「KLで日本人運び屋逮捕、死刑必至」参照) 

マレーシアは麻薬事犯に対する刑事罰が特に厳しいことで知られ、中でも密売目的所持は死刑(絞首刑)以外に法定刑がありません(危険薬物法39-B条)ごく微量であっても麻薬所持の現行犯は最高刑が死刑(大麻=200g以上、ヘロインや覚せい剤など=15g以上)です。 

(画像:ADカードにも「密輸目的で麻薬類を持ち込んだ者はマレーシアの法令により死刑に処されます」と明記してある)

一審・セランゴール高等法院は2011年10月、竹内被告に死刑宣告を行います。弁護側は控訴しますが、二審・シャーアラム控訴院も2013年3月27日付の判決で控訴を棄却。上告審・連邦裁判所での審理になって2年半が過ぎていました。そして今回の判決言い渡し。TBSテレビは

「法廷では身じろぎせずに裁判長の言葉を聞いていたが、退廷の時にはどこか諦めにも似た表情を浮かべていた。弁護人は、彼女が量刑を聞いた瞬間取り乱すような態度を見せたと述べた」

と伝えました。

今後、弁護側では連邦国王ないしセランゴール州スルタンの恩赦による死刑執行回避を目指すとしていますが、認められる可能性は低く、竹内死刑囚がいつ絞首台に立つかという点に注目が集まります。