バンコク・アソーク駅近くのタイムズスクエアビルを拠点に、10年以上にわたって営業を続けてきた日系旅行代理店『プログラムDインターナショナル』(クロントイ区)が26日、突然営業を停止しました。アソークの店舗には、債権者が貼り出した「財産を差し押さえた」という告知が残っているだけです。
ですが、プロDはLCCの規模拡大が始まった後も、一貫して本格航空会社の発券にこだわりました。2008年には国際航空運送協会(IATA)公認代理店の資格を取得し自社で発券業務まで行える体制にしました。しかし、LCCの発券をしないことで、複数の航空会社が飛んでいる路線でも、提供できる選択肢が限られるケースが出るようになります。バンコクからマニラ経由日本のルートを愛用しているDJ北林氏も、本格航空会社からLCCに切り替えた乗客の一人で
「エジプト航空(MS=MSR)の撤退後、フィリピン航空(PR=PAL)に切り替えるためプロDで発券したこともあるが、セブパシフィック(5J=CEB)の日本就航でそちらに切り替え、以来ずっとLCCばかりだ」
と述べています。
IATA公認代理店となったプログラムDは、スワンナプームショックや2010年のUDD軍戦乱、2011年の洪水などタイの観光業界を襲う危機も通信販売をベースに乗り切ったかのように見えました。とはいえ、最も多くの顧客が利用していたタイと日本を結ぶ路線にタイエアアジアX(XJ=TAX、ドンムアン区)、Scoot(TZ=SCO)などLCCが就航したことで、プロDの重要な顧客層だった日系企業駐在員などのビジネス客も徐々に流れ出し、苦しい台所事情に追い込まれていきました。
2015年に入って、創業直後から在籍していた経理担当の日本人社員が会社の資金を着服していたことが判明。大口債権者だったさくらホリデイ(サムットプラカン市)がプロDに対し支払いを求めたものの応じなかったため、バンコク南部民事裁判所(サトーン区)に破産を申し立てて施設と資産を差し押さえ、今回の突然の営業停止という事態に至ったという訳です。
これは、カオサン通りなどで繰り返された旅行会社の「夜逃げ」のパターンとまったく同じ。最近では2012年のMPツアー(プラナコン区、前記事「カオサン最古の日系代理店MPツアーがドロン」参照)の例があり、2007年に倒産したIBSトラベルやDTS(クロントイ区)も同じパターンでした。さくらホリデイによると、発券されていない予約はもちろん、運賃・料金を払い込み済みの航空券もすべてキャンセル処理がなされていたといい、しかもプロDは航空会社と直接代金の決済も行っていただけに、被害金額は相当のものになる可能性があります。
国際線航空券は最大で1年先までの予約が作成可能なだけに、プロDで年末年始や来年のソンクラーン、ゴールデンウィークの予約を持っていたお客様もいるかと思われます。さくらホリデイ本社に連絡して状況の確認はできるとのことですが、落とされた予約は他社または航空会社のHPなどで取り直さなければならず、支払い済みの場合でも再度、その時に予約可能なブッキングクラスで払い込みが必要と説明しています。
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