2014年7月16日水曜日

ミャンマーの空を三菱MRJが飛ぶ!

三菱重工業(東京都港区、東証1部上場)の子会社で小型ジェット機『MRJ(三菱リージョナルジェット)』を開発中の三菱航空機(名古屋市)は、東南アジア向けの初めての顧客としてエアマンダレー(6T=LMT、ヤンゴン)から確定受注すると発表しました。イギリス・ハンプシャー州で開催中の第49回ファンボロー国際航空ショー3日目の商談会で決まったと、日本経済新聞(電子版)と共同通信、時事通信が伝えています。

15日付で交わされた覚書によりますと、エアマンダレーは90人乗りクラスの『MRJ90』を6機確定発注し、別に4機分のオプション(追加発注できる権利)を持つ契約となっています。
エアマンダレーは1994年の設立以来、フランス製プロペラ機のATR72とATR42を使い続け、タイのチェンマイとヤンゴンを結ぶ便にもATR72を投入しています。しかし、タンシュエ軍事独裁当局時代には新造機を調達することができなかったこともあり、現在持っている3機はいずれも新造から20年以上を経ている古参機です。

ミャンマーの民主化進行に合わせてビジネスマンを中心とした国内航空需要は大きく伸びることが確実視されており、そうなると現在エアマンダレーが持っているATRだけではとても追いつけません。このため他社も含めてジェット機の導入が急務となっていますが、ボーイング製機材はアメリカによる経済制裁がまだ最終的には解除されていないため、ミャンマーの民間航空会社には納入実績がありません。カナダも制裁を行っていたため、ボンバルディアエアロスペース(旧カナデア)はミャンマーへの販売に慎重な姿勢です。ロシア製のスホーイSSJ100はインドネシアで墜落事故をやってしまい候補から外れました。さらに中国製の上海ARJ21は納入のメドが全く立っておらず、西安MA-60に至っては度重なる事故を受けミャンマー国内での飛行が禁止されました。こうして、日本からの調達が最も現実的な選択肢となった模様です。

三菱航空機では、ANAウイングス(EH=AKX、東京都大田区)へ初号機を納入した後、なるべく早くエアマンダレー向けのMRJ90を生産開始できる体制を整えるとしており、4年後の2018年に最初の1機を納機する予定だと説明しています。予定通り納入されれば、チェンマイはもちろんバンコク・スワンナプーム空港への定期便就航も期待できます。