移民庁は、韓国国籍者のタイへの出入国手段を制限する強硬措置に出ている模様です。韓国においてタイ人へのビザ発給要件が悪化していることを理由に挙げており、日本生まれで韓国籍を選択した人も影響を受けています。
(この項、Victer Chiさん/プラカノン区 からの投稿です)
自分は東京生まれの在日2世です。これまではビザなしで90日の在留許可、加えてBビザも無料で出る韓国籍者の「特権」を最大限に生かしてきましたが、今回の決定ははっきり言って痛い。まもなく日本に一時帰国する予定ですが、下手すると、タイでの仕事を諦めて、そのまま日本で職探しするかもしれません。
3月14日付で、移民庁本庁から各国境検問所に通達が行ったと言われており、ロンクルア国境検問所(サケオ県アランヤプラテート郡)やバンレム検問所(チャンタブリ県ソイダオ郡)では、ビザラン目的で訪れた複数の本国コリアンが出国を拒否されたとの噂が飛び交っています。陸路での出国を拒否された人は空路に切り替えなければならなくなっているといい、バンコクにある韓国系の旅行代理店では
「このままではカンボジア国境への陸路ビザランツアーが成り立たなくなる」
と頭を抱えています。
移民庁が出した通達は、バンコクからの距離が近いカンボジア国境では比較的早期かつ厳格に行われる傾向があり、一方でラオスやマレーシアといった遠隔地の国境では現時点で出国できたとしても、再入国時にリスクを抱える可能性があります。
タイと韓国の間には相互ビザ免除協定がありますが、韓国での就労を希望するタイ人を旅行会社がビザなしで入国させ、そのまま不法就労やオーバーステイに誘導するケースが後を絶たないとして、韓国法務部(日本の法務省に相当)はタイ人の入国審査を厳しくするように指示しているといいます。
それに加え、雇用労働部(日本の厚生労働省職業安定局に相当)がタイ国籍者に対する就業ビザ(タイのノンイミグラントBビザに相当)の発給に必要な雇用契約の条件を厳しくしたと伝えられ、これにタイの外務省と移民庁が激怒。対抗措置として韓国人旅行者のタイへの出入国手段を空路に限定することにしたというのが、今回の噂の筋書きです。
しかし、タイと韓国の間は元々相互感情が悪く、昨年7月に日本がビザなし渡航を解禁して以来、旅行者も出稼ぎ希望者も明らかに日本へ流れています。しかもインラック内閣は実兄のタクシン元首相の絡みもあり、日本との関係を維持しながらもなるべくなら韓国よりも中国へシフトしたいといわれています。2006~2007年頃の「外こもりすと受難期」を相互免除で免れるなど優遇されてきた韓国ですが、今回は逆に狙い撃ちでやられた格好で、Victer Chiさんのように韓国本国や日本への帰国、第三国移動を考える人もこれから多く出るかもしれません。