2013年10月3日木曜日

アライアンスの論理がうごめく羽田国際線発着枠!

国土交通省は2日、2014年夏スケジュールで行われる羽田・東京国際空港(東京都大田区)の国際線発着枠増強について、日本国内キャリアへの割り当てを決定し発表しました。

日本航空(JL=JAL 東京都品川区、東証1部上場)とANA(NH、東京都港区)が合わせて20往復分、海外の航空会社も全社合わせて同数分(コードシェアによる第三国キャリアの便名は除く)を獲得することになっていますが、このうち日本側の16往復分について、目的地の国と担当できる会社が決まったものです。

目的地の国ANA獲得枠JAL獲得枠
タイ11
シンガポール11
中国
(香港・マカオ除く)
11
フィリピン10
ベトナム10
インドネシア10
カナダ10
ドイツ20
イギリス11
フランス11

中国は、2012年8月の航空交渉で北京・首都空港発着路線に使うことが決められている

日本経済新聞(電子版)や朝日新聞をはじめとする日本の報道各社は今回の決定について、ANAと与党・自由民主党の意向が強く反映されたと報道していますが、必ずしもそうではありません。

日本航空はワンワールド、ANAはスターアライアンスに加盟しており、両アライアンス間のバランスに配慮する必要もあります。相手国に自社と同一のアライアンスの加盟社があれば、相手国側のためにも絶対取りたいというのが、本音です。

就航相手国にスターアライアンス加盟社がある場合、ANAとコードシェアを組むのは簡単ですが、JALと新規にコードシェアをすることは事実上できません。今回割り当てられる国のうち、スターアライアンスキャリアが存在するのはタイ(タイ国際航空=TG)、シンガポール(シンガポール航空=SQ)、中国(中国国際航空=CA)、カナダ(エアカナダ=AC)、ドイツ(ルフトハンザ=LH)の5カ国。一方、ワンワールドメンバーズが存在するのはイギリス(ブリティッシュエアウェイズ=BA)、ドイツ(エアベルリン=AB)の2カ国です。

ANAは、既存便と合わせて羽田発着の国際線で主導権を握ることになりますが、何よりもスターアライアンスメンバーズとの連携こそが国際線の浮沈を握っており、自社便を就航できる機会の拡大はもちろん、コードシェア便をより多くの都市に展開することで、正規割引運賃『エコ割』『ビジ割』を強力に販売して収益強化を図れます。

一方、日本航空はワンワールドとしてのグローバルなコードシェア戦略を取れる相手が限られており、国際間の乗継は主に成田国際空港を活用するとの方針を打ち出しています。羽田は国内線と国際線をつなぐ目的を重視するとしており、両社の事業戦略の違いが今回の配分に現れたのではないかと分析します。