2013年10月17日木曜日

ラオス航空のATR機が墜落、全員絶望

16日午後4時頃、ラオス南部のパクセ空港に着陸進入中だったラオス航空(QV)301便(ATR72、機体登録番号:RDPL-34233 2013年3月納機)が折からの悪天候による視界不良で煽られ、近くのメコン川に墜落しました。QV301便には乗客44人、運航乗務員2人、客室乗務員3人の合わせて49人が乗っていましたが、これまでに生存者が発見されたとの情報はなく、全員死亡の可能性が高いとみられています。

QV301便は首都ビエンチャンのワッタイ空港から南部有数の大都市パクセに向かう、ラオス航空の国内線では幹線格に挙がる便です。陸路では約12時間かかる両都市間を1時間ほどで結び、外国人客を中心に利用されています。

予約の多い時にはエアバス320が使われることもあるといいますが、16日は比較的予約が少なかったため、プロペラ機のATR72を使い、定刻から3時間以上も遅れた午後2時45分にワッタイ空港を飛び立ちました。出発が遅れたのは、現地が台風崩れの低気圧による風雨で回復を待ったためとのことです。ところが、着陸態勢に入ったところで気流が一段と悪化、機首が持ち上がった状態で水面に墜落したといいます。

このATR72という飛行機は、ラオス航空が旧社名の『ラオアビエーション』といった1990年代には日本や欧米諸国から唯一信頼できる機材として評価されていました(前記事「ラオス航空のY-7機が一掃」参照)。その後、ベトナム航空(VN)の支援を得てエアバス320や西安MA-60などの新しい機材を導入しますが、ATR72もASEAN域内の多くの会社に導入されるなど信頼性が高く、引き続き発注されました。それゆえ、今回の墜落で、ラオス航空に一時代を築いた「ATR安全神話」は終わりだという見方もあるくらいです。しかも、メーカーのATR(フランス・トゥールーズ市)の説明によりますと、墜落した機材は今年3月にラオス航空へ引き渡されたばかりの最新鋭機だったとのこと。ブランドイメージに大きな傷がつくのは、避けられそうもありません。

在ビエンチャン日本大使館邦人保護部によりますと、乗客の中に日本人や、日系らしき名前はなかったそうですが、ラオス航空が公表した乗客名簿では、10カ国近い外国人の名前が見つかりました。台湾の国営中央通信と衛星テレビ『TVBS』は1人、韓国の聯合ニュースは3人のそれぞれ自国民が乗っていたと伝え、香港のフェニックステレビ(鳳凰衛視)も中国人2人の搭乗を確認。アメリカのABCとタイの英字紙最大手『バンコクポスト』は、他にフランス7人、オーストラリア6人、タイ5人、ベトナム2人、カナダ、マレーシア、アメリカ1人ずつが乗っていて、残る約20人がラオス人だと報じています。