日本やシンガポールに遅れること10年、タイでも本格的な3G携帯の時代を迎えてもうすぐ1年になります。iPhoneに代表されるスマートフォンに加えて、タブレット端末やさらに高機能なタブレットPCの本格的な普及とも重なるこのご時世。外国人向けのインターネットカフェは、壊滅寸前ともいえる大打撃の中にあります。
8月、カオサン西側のチャクラポン通り(プラナコン区)で長年営業を続けてきたネット屋『テラネット』が閉店しました。2000年代を通じて、この店はe-mailやチャットで本国や旅行中に知り合った友人との連絡を取り合う外国人旅行者で賑わっていました。ところが、iPhone 3GS(アップル)でスマートフォンの時代が切り開かれると、西側先進諸国からの旅行者はWiFiを通じて手元でやり取りができるようになっていきました。
(画像1:2010年春、発売されたばかりの初代iPadとiPhone3GSを両手に。協力:とっぴーさん)
(画像2:中華タブレットなら2,000Bt.台での販売ももう当たり前)
Traveler's Supportasiaが産声を上げた直後の2006年当時、董事長ふくちゃんが毎日の記事編集のために通っていたカオサン・バンランプーのネット屋は、テラネットの閉店を最後に見る影もなくなりました。残っているのは、高級ゲストハウスの1階にある店ぐらい。どうしてもPCでなければできない仕事はすっかり激減しており、それもネットブックやタブレットPCを持っていればできてしまうので、ネット屋に行かなければとダメということは事実上なくなっています。
スクンビットでも、一昔前の2002年頃にはダイヤルアップに毛が生えたくらいの非常に細いADSL回線で1分につき2Bt.も取るネット屋がありました。今はそれらも姿を消し、ネット屋を探すのも一苦労。旅行者の多くは、WiFiや3Gに移行してしまった感があります。
バンコク首都圏で残っているネット屋は、家にADSLを引けない子供たちがオンラインゲームを楽しむ場、いわば日本のゲームセンターと似た感覚です。スマホやタブレットを持っていない外国人旅行者がたまに混じっているのを見ることがありますが、数年前に比べればそれも減っています。
(画像3:深夜でも明かりの消えることのないネット屋。中では24時間ゲームをする客が絶えない)
携帯電話最大手のAIS(パヤタイ区、SET上場)では、2GHz帯3Gが全77都県で利用できるようになったと既に発表しており、ネット屋の衰退がバンコク首都圏から地方へと広がるのはもはや時間の問題。しばらくFacebookに書き込みしなかっただけで捜索願を出されたバックパッカーも出始めており、タブレットが旅の必須アイテムになる日がそこまで迫っています。