27日朝、ラヨーン市沖のタイ湾海底に敷設されている石油パイプラインから原油が漏れ出しているのが見つかりました。28日にはタイ有数のマリンリゾート、サメット島に近い本土側の保養地メーランプン(ラヨーン県ムアン郡)に原油の塊が漂着し、今日29日、サメット島にも到達したことが確認されました。
パイプラインは、石油元売り最大手の国営企業PTT(バンコク首都圏チャトチャック区、SET上場)が建設したもので、南部のタイ湾沖にある油田から石油や天然ガスをグループの製油所や化学原料工場が集中するマプタプット(ラヨーン県ムアン郡)まで運んでおり、総延長800kmに上ります。運用は、グループのPTTグローバルケミカル(チャトチャック区、SET上場)に任されていました。
外電報道などを総合すると、マプタプットの南西沖約20kmのところでパイプラインのつなぎ目が破れ、原油300ないし400バレルが海中に流れ出たということです。ただし、ロシア国営「ロシアの声」放送は5万リットル、日本の読売新聞は50トンなどと、報道各社ごとに記事中での単位が異なっており、正確な量は把握されていません。
海軍や海上保安部、PTTグループなどが海に処理剤を撒いたり、海上に浮かび上がった原油の塊を船に取り込むなどしていますが、強風に煽られてタイ本土へと向かっています。県庁関係者は
「これまでに4割ほどを回収できた。残りもあと1~2週間で揮発するだろう。環境への影響はない」
との超楽観的な見通しを明らかにしていますが、観光への影響を避けたい意図があるとはいえ、実態とは全くかけ離れています。原油で黒く汚染されたビーチの画像を見ましたが、生態系や観光への深刻な影響は避けられません。
しかも、タイ国内の大手報道機関も対応が後手後手に回っており、観光客への伝達が大きく遅れています。特にこの時期は学校が長期休みになっている多くの西側先進国からの旅行者に加え、タイ人も母の日の3連休(8月10日~12日)を控えて国内旅行を考えている人が多く、それら旅行客で賑わうはずだったサメットは、水を差されてしまった格好です。
Traveler's Supportasiaは、今回の事故を極めて深刻な事態と判断し、ラヨーン県ムアン郡のタイ湾沿岸に「渡航の延期をお勧めします」の安全情報を出します。既にサメット島やメーランプンでは原油の到達により浜辺への立ち入りが禁止になっているところがあります。
また、サメット島周辺でダイビングを考えられていた方は、絶対に海に入らないでください!! 一般的なスキューバやオープンウォーター用のダイビングスーツは、石油には耐えられません! そういう環境ではゴム製のドライスーツと呼ばれるタイプのスーツを着用しなければならず、災害対策に熟練したプロダイバーでなければ命の保証はできない、つまりは150%無理ってことです。
2013年7月30日火曜日
サメット・メーランプンに原油の塊が!!
日本時間 0:00
ラベル: タイ , 中部(バンコク圏外) , 旅のリスク