2013年4月20日土曜日

[深夜01]の次を探せ

東京都知事・猪瀬直樹は15日、出張先のアメリカ・ニューヨークで同行記者団に対し「都営バスの24時間運行を行いたい。年内の実現を目指す」と述べました。これを受け、東京都交通局(東京都新宿区)は対象路線の第1号として、最大の幹線[都01]の深夜バス版[深夜01](渋谷駅~新橋駅)を選定する意向です。

(前記事「都バス24時間化なら東京駅乗り入れが必要」から続きます。2分割の2本目です)

猪瀬知事は、帰国後の記者会見の中で

「24時間都市としての東京を考えていきたい。まずはスタートを切り、そこからどういうことが考えられるのか、意識改革も大事だ」(NHKのニュースから引用)

と述べています。この発言は、[深夜01]以外にも複数の路線が24時間運行に切り替えられる可能性があるということを示唆したものとみられています。

しかし、山手線の西側の駅と東側の駅を結ぶ路線は、2000年(平成12年)の都営地下鉄大江戸線開業ですっかりその数を減らしています。ということは、過去に廃止した路線を深夜限定で復活することが検討課題に上る。その実現性も高い、と考えられるのです。

[深夜01]の次に24時間化の俎上に上がる可能性が高いのは、[池86](渋谷駅~池袋駅)ではないかと分析します。この路線は、JR山手線や東京メトロ副都心線と完全に並行するものの、副都心線の開業後も利用者がそんなには減っていないという交通局の調査結果がまとまっています。1989年(平成元年)から1995年(平成7年)までは、新宿~池袋間に深夜バス[深夜09]が運行された実績もあります。JRの電車運転が終了する午前1時から、始発の4時30分までの間に絞り込めば、バスに十分な勝機があります(JRの始発は渋谷駅4時38分。一方副都心線はJR線よりも30分ほど早く終わってしまい、始発も約30分遅くなります)。

もし実現するならば、当然、[深夜09]の時代とは違って渋谷発着にしなければなりません先に24時間化する[深夜01]との接続によってこそ、この路線の24時間化に意味があると思われるのが理由です。

その他では、新宿周辺から山手線の東側の駅へ向かう路線も候補に挙がります。[橋63](新橋駅~小滝橋車庫)はJR中央線市ヶ谷駅、山手線の新大久保駅、中央線大久保駅を通り、[上69](上野広小路~小滝橋車庫)は山手線高田馬場駅を経由します。

一方、[都03](四ツ谷駅~晴海埠頭)を24時間化するのであれば、2000年に廃止された四ツ谷駅~新宿駅西口間を復活しなければなりません。この路線は、都市新バス化前の[銀71]やさらに前の都電11系統の時代から、新宿と銀座を直行で結んできた路線で、東京メトロ丸ノ内線の終電後に新宿まで運転することで需要を見いだせると思われます。

六本木からJR山手線の東側へ出ようとする場合、 新橋駅に行く[深夜01]以外にJR田町駅へ出る『ちぃばす田町ルート』(フジエクスプレス)もあります。これは港区役所主導で運行するコミュニティバスのため24時間運行になるとは到底思えませんが、前身だった都営バスの[田70](田町駅~新宿駅)を深夜運行に限って復活するという方法が考えられます。

そして、都営バスが24時間運行を行うのであれば、ネットワーク性確保の意味で民間も刺激を受けると予想されます。先の記事でも触れた通り、[深夜01]の東京駅延長が実現すれば、京成バス(東京都墨田区)と平和交通(千葉市)が運行する千葉県内各地への深夜急行バスに接続が取れます。

東急バス(東京都目黒区)は、渋谷駅で[深夜01]に接続する深夜急行路線を複数運行していますが、それに加えて山手線と並行する[渋41](渋谷駅~大井町駅)や、[渋24](渋谷駅~成城学園前駅)の深夜バスを時間延長すれば、品川・世田谷区といった都内山手線外への帰宅者の足を確保でき、猪瀬知事の言う「24時間都市東京という新たな意識」に適うネットワークが構築できます。

「都心だけじゃねぇ。住宅地まで来ないとダメだよね」

という声が、既に読者からも挙がっています。

その都営バスも、山手線外の江東区や北区、江戸川区に充実したネットワークがあります。中でも、[王40](池袋駅~西新井駅)は、北区、足立区の鉄道空白地帯や大規模団地を結びながら東武伊勢崎線とJR山手線を短絡する幹線で、24時間化の候補に挙がっても何らおかしくはありません。