2013年3月27日水曜日

nanacoとAMCの相互交換開始へ (1)背景を探る

セブン&アイHLDGS.(東京都千代田区、東証1部上場)は、同業他社に比べて手薄だった航空会社との本格的な提携に乗り出すことになりました。その提携先としてANA(NH、東京都港区)を選択、4月から電子マネー『nanaco(ナナコ)』とマイル、電子通貨への相互交換がスタートします。

AMCで電子マネーといえば、これまでは『Edy』(運営会社:楽天Edy=東京都品川区)が常識でした。楽天Edy社の前身、ビットワレットの設立にはANAも関わっており、ソニーに次ぐ第2位の株主として10年以上に渡りEdyの普及に力を注いできました。

その一方で、ANAはSuicaやPiTaPaなど陸上交通系電子マネーにも接近。ANAカードには交通系電子マネー搭載カードもラインナップされ、1枚のカードで全国どこでもキャッシュレス、チケットレスという高い利便を実現。商品性の充実に寄与してきました。

一方、セブン&アイ側では2007年にnanacoのサービスを開始し、2009年からはEdyや陸上交通系電子マネーもレジで使えるようにしました。しかし、nanacoはこれまで航空会社との提携がなく、セブン=イレブンでの買い物に電子マネーを使ってマイルを獲得しようと思うと、AMC Edyカードしか選択肢がありませんでした。

2012年6月、ビットワレットが正式に楽天グループ入りし、社名とシステム名を楽天Edyに統一します。これによってANAとの関係が薄れだしました。

しかしセブン&アイの最大のライバル、イオン(千葉市、東証1部上場)は既に自社システム『WAON』を普及させており、そこには日本航空(JL=JAL)が絡んでいました。航空会社との提携をこまねいていたセブン&アイは、ANAに接近することでnanacoの出遅れを挽回し、WAONとの対抗軸を確立するべく大攻勢をかけるという理由ができました。