2012年7月29日日曜日

AirAsia初の本格航空会社買収!本部も移転!?

AirAsia(AK)は、インドネシアの純民間資本航空会社バタビア航空(7P)を買収することで同社の持ち株会社と合意、発表しました。

会社側の説明によりますと、バタビア航空の持株会社「メトロバタビア」(ジャカルタ)の株式のうち、49%相当をAirAsiaグループの地域統括会社「エアアジア・アセアン」(ジャカルタ)が取得。残りの51%相当は、インドネシアエアアジア(QZ)の設立にあたって合弁相手になった地元複合企業が取得し、インドネシアエアアジアと同一の資本構成にします。バタビア航空は当分の間ブランドを存続するものの、将来的にはインドネシアエアアジアと統合されてAirAsiaグループのグローバルネットワークに組み込まれる可能性が高いとみられます。

またAirAsiaはこの直前、トニー・フェルナンデスCEOがエアアジア・アセアンを中心とする指揮系統の確立に専念するため、ジャカルタに引っ越したとも発表。AirAsiaグループは発祥の地マレーシアを今後もグローバルハブとして重視する方針を変えず、AirAsia本体の上場もクアラルンプール市場で変更しないものの、戦略拠点の移動を事実上の本部移転と取ることもでき、マレーシアとインドネシアのどちらがメインの多国籍企業なのか、理解しにくい状況ができそうです。もっとも、会社側では広報サイト「AskAirAsia」で

「明確にしておきたいのが、エアアジアの拠点がジャカルタになるわけではない、ということです。エアアジアの拠点はあくまでマレーシアです

と説明しています。

バタビア航空は2002年に設立された比較的新しい航空会社。ガルーダインドネシア(GA)と並ぶ大手だったセンパチ航空(SG)の運航停止を受けて、同社出身のプロペラ機で運航したのが始まりでした。その後B737クラシックやエアバス320ファミリーを導入して路線拡大と機体の更新、改善を進めてきました。一方、インドネシアエアアジアは2005年の運航開始以来、国内線よりも国際線を重視した路線政策を取ってきました。その結果、国内線ではシェアが低迷。ライバルのライオンエア(JT)に押され伸び悩んでいます。これには、大小2万近い島々からなる国インドネシアならではの事情がありました。

AirAsiaグループが得意とする航空券のインターネット販売がインドネシアではあまり普及していないため、バタビア航空が10年かけて築いてきた国内旅行代理店の販売網を活用することで販路を拡大できると判断。バタビア航空側も、AirAsiaグループという強い資本力を持つグループの下で国際線の本格的な強化に着手でき、AirAsia国際線から国内線への乗り継ぎ需要も獲得できるのです。

さらに、AirAsiaグループが持っているエアバス320の膨大な注文残を生かして、製造から20年以上を経た機体が多いバタビア航空保有のB737クラシックを強力に代替できます。先にマンダラ航空(RI)を買収しネットワークに組み込んだタイガーエアウェイズ(TR)への対抗措置も取ることができる。これら大きなメリットをプラスに取って、両社は利害の一致を見ました。

(画像2:運航停止していたマンダラ航空が復活。垂直尾翼が親会社と同じ縞模様になった) 

《10月16日追加》
AirAsiaグループはインドネシア政府などの圧力を受け、今回の買収を見送ることになりました。詳しくは後記事「AirAsiaのバタビア航空買収、見送り」を参照してください。