2012年5月3日木曜日

ホームレスよ、もはや日本に未来はない

厚生労働省社会援護局地域福祉課は、5年に1度実施するとしていたホームレスの実態に関する全国調査の第3回調査を行い、その結果を発表しました。それによりますと、2007年の前回調査と比べて、ホームレスの全体数は減少したものの、それでも続けている人の仕事に就ける割合は半分以下に、そして収入は10分の1と激減していることがわかりました。

前記事日本のネット屋難民よ、目指すのは「道」か?でも書きましたが、日本ではホームレスとネット屋難民、そしてニートは、厳密な意味で区別されていますネット屋難民は家がないだけで、働く場所は既にあるか、日雇い派遣などでたやすく働くことができるし、場所探しも、インターネットが使えるというデジタルディバイド(情報格差)の面で圧倒的に有利。そのどちらもないゆえに、最も厳しい環境に置かれているのが、ホームレスです。

ホームレスができる仕事というと、日雇い労働か、廃品回収業くらい。毎日の食事の確保も、消費期限切れ前の値引き販売によって、捨てられるコンビニ弁当や菓子パンが圧倒的に減ったことで非常に厳しくなり、NGOによる炊き出しに依存する人が増えました。2008年のリーマンショック以降は、東京では23区内に5ヶ所ある自立支援センターに入るホームレスが多くなっていき、ホームレスの全体数は激減の一途を辿りました。4月13日に発表された今年度のホームレス概数調査では、初めて1万人の大台を割り込んだものの、その一方で、なおもホームレスを続けている人が今まで以上の過酷な環境に晒されていることも明らかになっています。

何より深刻なのが、収入の格差。5年前の前回調査では、「月に1万円以上稼げている」と答えた人が8割を超え、平均でも4万円近い数字をたたき出していたの対し、今回同様の答えをしたのはわずか6.2%。5万円以上稼げた回答者はいませんでした仕事ができている人の3分の2が「月に5,000円も得られていない」と答え、まったく働いていない人も全体の4割に達しているといいます。これに対し、ネット屋難民では2007年の前回調査時点でも平均月収が10万円強に上り、ホームレスとネット屋難民の収入格差は前回の2.5倍から、5年でなんと20倍まで拡大してしまっています。

ネット屋難民であれば、海外での仕事探しに踏み切ることは簡単。パスポートと航空券を調達するお金は作れますし、ネット屋さんが受け入れるなら、住民票を入れさせてもらってパスポートの申請を行うことができます。しかし、ホームレスではそれも難しい。けれども、このまま日本でホームレスを続けても、道を開くことは150%無理です。何とかしてお金を作って、海外に出てくるか、あるいは65歳まで待って年金と生活保護の組み合わせで卒業するか。年金の期待が薄い比較的若い世代なら、何とかして海外に出る方法を考えないといけません。

ですが、それすらも許されないのが実情です。10年パスポートを作るにも16,000円かかりますが、これはホームレスの平均月収の4~5カ月分。航空券も、例えばバンコク行きで燃油サーチャージを入れて4~5万円すれば、それこそ月収の1年分以上。これでは道を開こうにも、開けません。