マレーシア航空(MH=MAS クアラルンプール、マレーシア証取上場)は、昨年6月に決定したワンワールドへの加盟準備の一環として、ANA(NH)との提携を全面的に解消することになりました。ANAがスターアライアンスのメンバー社で、既存ワンワールドメンバーの日本航空(JL=JAL)と提携を組み直すための措置です。
両社は、ANAがスターアライアンスに加盟する前からマイレージ提携を実施してきました。ANAマイレージクラブ(AMC)では数少ない非スターアライアンスメンバーのパートナーとして、シンガポール航空(SQ=SIA)の加盟後も提携を維持。2004年春スケジュールからは、日本線でのコードシェア運航を実施していました。
しかし、これまでどのアライアンスにも加盟していなかったマレーシア航空がワンワールド加盟を決めたことで、メンバー社以外との提携にかかる制約という、スターアライアンスに特有の問題が出てきます。ワンワールドメンバーがスカイチームのメンバー社と提携を維持することは問題ないのですが、スターアライアンスメンバーとの提携を維持していくには厳しい制約があります。
スターアライアンスメンバーと他のアライアンスのメンバー社がコードシェアを行った場合、その便では自社以外のスターアライアンスメンバーをコードシェアパートナーに加えることはできません。例として、タイ国際航空(TG=THA)と日本航空のコードシェア便では、両社以外に新たなコードシェアパートナーが入ることは不可能です。マイレージでも、TGの自社プログラム「ロイヤルオーキッドプラス」以外の他社プログラムには、マイルを加算することができません。
スターアライアンスメンバー社のマイレージプログラムでは、メンバー全社が相互に提携をしますが、個別提携先に他のアライアンスの加盟社がいる場合、搭乗マイルを獲得することと特典航空券を発券することはできるものの、エリートポイントをつけることはできません。シンガポール航空はスカイチーム幹事社のデルタ航空(DL=DAL)と長年個別提携をしてきましたが、2010年5月に解消しています。
今回は、ユナイテッド航空(UA=UAL)が旧コンチネンタル航空(CO=COA)をスカイチームから引き抜いた時や、SIAがデルタとの提携を解消したときの経験を生かし、AMC規則で定められた最低限の周知期間とされる3ヶ月前の告知で提携解消に踏み切ります。コードシェア便の運航は5月31日(木)限りで終了し、マイレージの加算、特典航空券発券も同日限り。6月1日以降に搭乗を予定していたMHコードシェア便の航空券を発券済みの方は、成田発であればANA自社便でシンガポールかバンコクまで飛びそこからSIA、MHまたはTGのクアラルンプール行きに乗り換える形で振り替えられます。6月以降のマレーシア航空便をAMC特典航空券で予約されている場合はそのまま搭乗でき、予約の変更も認められます。
なお、提携解消にあたってANAではペックス航空券(エコ割5、スーパービジ割)の運賃規則を一部改定しています。最終目的地がマレーシアの場合、これまで、日本と結ぶ国際線区間はMHコードシェア便のみの利用でしたが、新たにANA自社便、TGとUA運航のコードシェア便の利用が可能になります。またバンコク、シンガポールでの乗り換えが認められ、シンガポールからKLIAへの乗り換え便はSIA、シルクエアー(MI=SLK)も選択OK。1回あたり7,000円の手数料追加で両都市でのストップオーバーも可能になります。