2012年2月15日水曜日

タイ初の簡体字華文報誕生!

 タイ華字紙2位の星暹日報(ポンプラップ区)は、昨年創刊60周年を迎えたのを機に紙面の全面リニューアルに取り組んでいます。2010年11月にそれまでの縦組み紙面を廃して最大手紙『世界日報』と同じ横組み紙面にしましたが、今年からはタイ国内に6紙ある華字紙で初めてとなる、簡体字表記を導入しました。

 タイの華僑社会は、中国が簡体字を開発する前の1950年代までに潮州(広東省東部)や台湾などから移民してきた旧華僑世代の系譜が主流で、前後して学校での中国語教育が禁じられたこともあり、繁体字で中国語を表現するのが現在でも当たり前です。1990年代に中国語教育が再開された後も、旧華僑1世の故郷である潮州や台湾は現在でも繁体字を使用する頻度が高いこともあり、簡体字への移行は進みませんでした。

 しかし、1990年代以降に大陸から移民した新華僑世代には母国中国の教育もあり簡体字が広く普及しており、星暹日報と同系列のマレーシア華字紙2位『星洲日報』や、そこから独立したシンガポールの『聯合早報』は、早くから横組み簡体字表記へ移行していました。最大手の世界日報と比べて20年遅れた近代化を一気に進め、新華僑世代に広く浸透する華字紙として競争に勝ち残っていくには、繁体字から簡体字への移行がまさに最後の切り札だったのです。

 そして、創業60周年をきっかけに第1世代の経営陣(タイガーバームの創業家の地縁)が総退陣。改革は一気に実現の方向へと動き出しました。2010年11月26日付で創刊以来の縦組み紙面から横組み左書き紙面へ移行し、1年以上の準備期間を経て、悲願の簡体字移行となりました。