2011年7月22日金曜日

AirAsia日本上陸!!成田ハブにANAと組む

 ANA(NH)とAirAsia(AK)は21日、日本で合弁会社『エアアジアジャパン』(JW、東京都港区)を設立し2012年8月の運航開始を目指すと発表しました。東南アジア最大のLCCとして地位を確立したAirAsiaにとっては初の北東アジア進出となり、日本でも本格航空会社vsLCCの価格競争が本格化します。


 AirAsiaグループでは、既にAirAsiaX(D7)が東京・羽田空港に就航していますが発着枠の関係で週3便から増便できません。また、マレーシアと日本の間はAirAsiaグループが使用しているエアバス320の航続距離の問題もあり、エアバス330を使っているAirAsiaXでなければ就航できません。バンコクハブであればエアバス320でもギリギリで日本まで飛べます(前記事「タイエアアジアを使えばできないことはない」参照)が、タイエアアジア(FD)は日本線への進出にあまり積極的ではありません。そんな状況で今後、発着回数の増加が予定されている成田国際空港をハブとして日本に本格進出するには、日本側の提携企業が必要だったのです。

(画像1:AirAsiaの機材はエアバス320で統一されている)

 タイエアアジアやインドネシアエアアジア(QZ)を立ち上げたときは地元の有力企業と組みましたが、航空会社運営の経験がない資本家が相手ではリスクがあります。現にAirAsiaグループでは地元資本主導で設立されたものを買収したベトジェットエア(VJ、ベトナム国籍)がAirAsiaブランドの使用を政府から許可されず合弁解消に追い込まれたという苦い経験もあります。

 そこで既存の本格航空会社であるANAをパートナーに選べば、より短い準備期間で設立から運航開始まで確実に漕ぎ付けられる。ANA側も、これから本格化するLCCビジネスで先行しているAirAsiaと組めば、イチから起こす形より早く、またANAが先に関西国際空港ハブで設立を発表したPeach(MM=正式社名:ピーチアビエーション、大阪府泉佐野市)にもノウハウを伝承できると判断。その上、ジェットスターエアウェイズ(JQ)が日本航空(JL)をパートナーにして日本進出を果たしたとしても、「先行者利益を得ることが出来る」(伊東信一郎ANA社長)。長年続いたANAとマレーシア航空(MH)との関係も、MHがワンワールド加盟に走ったことで解消の方向となりしがらみがなくなったとして、両社の思惑が一致しました。

(画像2:ANAはエアバス320を持っているので事業がやりやすい)

 日本の航空法では、外資の導入が議決権ベースで33.3%まで認められているため、AirAsiaグループは法規制ギリギリとなるエアアジアジャパン普通株の33.0%相当を取得し、 残りはANAが保有します。ただし、議決権のない優先株を含めると、ANAの保有比率は51%まで下がり、連結決算など企業財務上の主導権はANAが握るものの、事実上折半出資となります。

 エアアジアジャパンは、成田空港会社が建設を予定しているLCC専用ターミナルに入居して日本国内や韓国、中国などへの就航を目指すとみられます。運航政策やブランドイメージはAirAsiaグループのものに組み込み、機材もAirAsiaグループが一括発注したエアバス320を使います。こうすることで「あくまでも出資しただけの形」(伊東社長)のPeachとも棲み分けを図りますが、一方で成田空港の発着枠はこれまでANAと日本航空が使ってきてまだ余裕のある日本側権益を使うため、十分に確保できるといいます。

 来年8月に予定されている、日本発のAirAsia便が楽しみです。