2009年6月12日金曜日

中古ケータイが突然、使えなくなる日が来る

 NTT docomoは、今年10月から中古の携帯電話機に対する規制を強化します。不正に入手された携帯電話機が振り込め詐欺や暴力団活動に転用されるのをを防ぐ目的で、該当する機械では音声通話、メールとも発着信できなくなる恐れがあります。同様のシステムはソフトバンクモバイルでは2008年12月から導入されており、今後、au by KDDIでも導入される予定です。


 日本国内の携帯電話4社(docomo、au by KDDI、ソフトバンク、e-mobile)が採用している3G規格では、世界標準のGSMと同様に、SIMカードに番号情報を登録する形態を採っています。SIMカードは対応するすべての機械に自由に抜き差しして使えますが、これが不正の温床になっているとも言われています。
 docomoの説明によりますと、FOMAシリーズ携帯電話機は番号情報の入ったFOMAカード(SIMカード)を取り付けないと動作しませんが、それとは別に1台ごとに「固有番号」と呼ばれる機械識別情報があり、発信や待ち受けのときに番号情報とともに固有番号が流れます。この固有番号に対して、ドコモショップ(正規代理店)や一般の販売店から盗難品であるとの報告がなされると、docomoではその固有番号をネットワークに登録します。いわば、機械のブラックリストを作るというわけです。
 ネットワークに登録された盗難品の固有番号と、発信した機械の固有番号が一致すると、その電話機からは音声通話、メールとも2度と発着信ができなくなり、同時に警察にも通報されます。

 ドコモショップや取扱店などの社員、アルバイトがアウトレット店(前記事「駐在員もケータイをお土産にできる」参照)へ横流ししたり、店から勝手に持ち出された後ヤフオクや楽天フリマなどのオークションで転売したケータイが暴力団や振り込め詐欺グループに渡り、犯罪に使われることを防ぐのが最大の狙い。契約のときの本人確認書類が偽造であっても当然、ブラックリスト入りです。しかし、正当な書類で回線契約してもすぐに解約されたなどの理由でブラックリストに入れられてしまう可能性があります。また、現在アウトレット店に並んでいる機械は一部がブラックリストに該当してしまいます。
 お手元の機械が万が一ブラックリスト入りしてることを知らずに使い続け、突然サービス停止になったからと言って、インフォメーションダイヤルやドコモショップに抗議しても一度かかった規制は永久に解除しないとのこと。最低でも機械の買い直しが必要、下手すると強制解約の上解約情報交換、他社も含めて2度と携帯電話を持てないという事態にもなりかねません。
 docomoでは、ホームページに盗難品情報の検索システムを追加して、盗難品の出荷そのものを食い止められる手段を提供しますが、それでも、ブラックリスト入りした機械が海外に持ち出されることは想定していませんブラックリスト入りした3G/GSM両用機を海外に横流しし、SIMゲタと日本国外の会社のSIMカードを使って海外専用で使うというのも十分あり得ます。そうなるとリスト入りの事実を知る由もない駐在員が海外で規制対象の機械を購入し、本帰国すると、携帯電話の再契約手続きがスムーズに行かないということになります。
 ドコモショップや一般の新品取扱店で正規に購入された大多数の方は問題ありませんが、国内のアウトレット店や中古販売店で購入された機械を海外へ持ち出されている方は、必ずお手元の機械の固有情報を確認してください。

(6月19日追加)
 ドコモショップ渋谷店(東京都渋谷区)によりますと、当面はドコモショップや取扱店の店頭に見本として配備された機械が盗まれた場合を想定しており、販売品としてショップに納入されたものについては対象外だとのことです。
 一方ソフトバンクモバイルでは、理由に関係なく紛失・盗難の届けがなされた(警察への届けが先になされた場合は会社が確認した時点で)すべての機械が対象になるとのことで、今後、docomoがどこまで厳しい対応を取るか注目されます。