前記事「日本の民放テレビ、海外発信は不可能」で、国内のサーバに保存したテレビ番組のデータを発信して摘発された「Jネットワークサービス」を取り上げましたが、Jネットワークに限らず、ロケーションフリーなどの機械を預かる会社であっても、やり方次第では刑事に問われる危険性をはらんでいることがわかりました。
Jネットワークサービスはフジテレビから告訴を受けたのですが、フジテレビには「みんなのケイバ」(日曜15:00~16:00)があります。海外でみんなのケイバなどの競馬中継を視聴されていた駐在員さんも多いはず。そこで董事長ふくちゃんは、番組のスポンサーでもあるJRA(日本中央競馬会、東京都港区)に問い合わせ、次の通り回答を得ました。
--みんなのケイバで放送された素材についての著作権は?
映像の著作権はフジテレビにある。同種の番組(「中央競馬ワイド中継」「DREAM競馬」など)にしても、JRAは現場(競馬場)においての映像取材を許可する、および番組のスポンサーとして関わる立場。
--みんなのケイバに限らず、競馬の実況映像が海外に流れることは問題ないのか?
放送された映像を、ロケーションフリーなどの機械を使って個人の範囲内で楽しむには問題ない。ただ、JネットワークのようにPCサーバに保存してとなると、著作権者である放送局、ないしは制作会社(この場合はフジテレビ)が対応することになる。また、馬券購入が絡むと別問題。
--海外に流れた映像を元に、事業者、ないしは視聴者個人が馬券の購入代行を行った場合、違法となるのか?
個人か法人かの別を問わず、完全な違法行為(競馬法1条の6)。IPAT(インターネット投票)会員が第三者から購入を取り次ぐのも禁じられている(競馬法31条:3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方)。
--IPATを使って正規の馬券購入を取り次ぐのではなく、在外同胞が個人で集まって金を出し合った場合は?
その場合は罪がさらに重くなる(競馬法30条:5年以下の懲役または500万円以下の罰金、もしくはその両方)。元締めはもちろん、参加者全員が処罰の対象。
--(タイ自由ランドに掲載された広告を引き合いに出し)バンコクでは日本の競馬新聞の配信はもちろん、馬券の購入代行もしますという広告をよく見るが?
おとり捜査もできないことはないが、海外でとなると日本の競馬法のおよぶ範囲(競馬法には国外犯の制度はない。刑法185条の賭博開帳罪も国外犯に問えない)や捜査権の問題もあり、JRAとしてもなかなか告訴に踏み切れないのが実情。ただし、帰国した時点で罪に問われることになるので、そのような会社は絶対に利用しないでほしい。
この回答を参考に考えると、タイ自由ランドに毎号出ている「競馬同好会」さんの広告は、文句なしに違法ということになります。
「日タイ両国ともに法令で認可されたスポーツを純粋に楽しむことを目的とし」
と書いておきながら、そのすぐ下には
「馬券購入の代行いたします」
とあります。
JRAとしては、IPATや即PATの登録情報を元に、引き落とし先の銀行や警察と協力すればすぐにでも処罰対象にできるそうです。